就業規則の作成で不利益に? 細かな労働条件を明確化 強硬に反対する者いるが
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顧問先の小規模企業のことで、お尋ねします。業容拡大で、従業員数が10人以上となるので、就業規則の作成に着手します。社長は、「この機会に、細かな労働条件を明確にしたい」意向ですが、不利益変更が懸念される点もあります。仮に、従業員が、強硬に反対した場合、新規則を適用できるのでしょうか。【愛知・H社労士】
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変更する合理性が必要
就業規則は、過半数労組(ないときは過半数代表者)の意見を聴取し、労基署に提出するというプロセスを踏みます(労基法第90条)。「意見を聴くとは、諮問をするという意であり、同意を得るとか協議をすることまで要求するものではない」(労基法コンメンタール)と解されています。
従業員が「労働条件の不利益変更」といって反対するとき、法的にはどのように処理されるのでしょうか。労働契約の成立・変更については労契法の第2章に規定がありますが、お尋ねの問題に関連しそうなものとしては、第7条と第10条が挙げられます。
第7条では、「合理的な就業規則を労働者に周知させていた場合、就業規則で定める労働条件による」と規定しています。しかし、解釈例規(平20・1・23基発第0123004号)では、「本条は、既に労働契約が締結されているが就業規則は存在しない事業場において新たに就業規則を制定した場合については適用されない」と明確に適用を否定しています。
第10条では、「使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合、労働者に周知させ、かつ、変更が合理的なものであるときは、変更後の就業規則に定めるところによる」という文言を用いています。いわゆる「労働条件の不利益変更」のルールを規定するものです。しかし、「第10条は『変更』についての規程であり、『新規作成』について直接には適用されない」(荒木尚志「労働法」)と解されています。
ただし、結論的には「新規作成にも、法第10条を『類推適用』すべき」という意見が有力です(前掲書ほか)。要は、変更の合理性が問われるということです。
トラブル防止のため、社長が1人で(あるいは社労士と相談し)文案を決めるのではなく、事前に従業員との話合いの場を持つようお勧めします。
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