繰上げの損益分岐点は 60歳から年金受給開始
2012.01.23
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老齢基礎年金を繰上げ受給すると将来にわたり減額されます。60歳から繰り上げた場合と65歳から受給した場合を比較すると、年金の損益分岐点について、どのように考えばよいでしょうか。【福岡・S社】
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76歳8カ月が目安時期
老齢基礎年金の受給額について繰上げが損か得かは、その人が何歳まで生きるかによって決まります。
5年間受給を繰り上げて60歳から受給すると、繰上げによる減額率は、繰上げ請求月から65歳到達月の前月までの月数(60カ月)に0.5を乗じた30%になります(国民年金法施行令第12条の2)。5年間にわたり70%相当額の年金を本来の受給開始時点より前に受け取ることができます。
65歳から受給できる満額の年金をX(エックス)とすると、5年間で受け取る年金額は、X×70%×60月=42Xとなります。一方、65歳以降に受け取る年金額は、満額の7割です。1カ月当たり、30%分ずつ損をすることになります。先に受け取った5年分のメリットと、65歳以降のデメリットが均衡するのは、42X÷0.3X=140月(11年と8カ月)になります。
76歳8カ月より長く生きる場合には、繰上げではなく、普通に65歳から満額の年金を受け取る方が有利という結論になります。実際は、これに運用利率等が関係してきますから、時期はあくまでも目安となります。
※内容は掲載当時のものです。法改正等により内容に変更が生じている場合がございます。
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平成24年1月23日第2857号16面 掲載