『時間外労働』の労働実務相談Q&A

2025.05.13 【健康保険法】

本採用後の改定が必要か 試用期間中は残業なし

キーワード:
  • 割増賃金
  • 時間外労働
  • 残業
  • 残業代
Q

 採用した従業員の試用期間を3カ月に設定しています。試用期間中は残業を命じないことをあらかじめ本人に伝えています。晴れて本採用に至った後に残業を命じて、実時間に応じて時間外割増賃金を支払うときに、社会保険の報酬月額を改定する必要があるのでしょうか。【広島・U社】

A

「手当新設」には当たらず 入社時に取得手続きを

 健康保険の被保険者資格は、適用事業所に使用されるようになった日から資格取得します(健保則35条)。「適用事業所に使用されるようになった日」とは、事実上の使用関係が発生した日であるため、試用期間であっても被保険者資格を取得すると解されています(健康保険法の解釈と運用)。

 試用期間中は残業がなく本採用後に残業が可能となり、はじめて残業代が発生したとします。その後3カ月間の報酬の平均額と、資格取得時に決定した報酬を比べて2等級以上の差が生じた場合に、随時改定の要件に該当するのでしょうか。

 改定の対象になるのは、…

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2025.05.12 【労働基準法】

時間外労働は何時間まで トラック運転から転換で

キーワード:
  • 36協定
  • 労働時間関係
  • 時間外労働
Q

 運送業を営んでいます。トラック運転者が病気にかかり、無事退院しましたが内勤へ変わります。時間外労働の上限に関してトラック運転者は異なる扱いがされていますが、異動があった場合はどのような考え方をするのでしょうか。【茨城・G社】

A

原則どおりの上限になる 転換前720時間ならできず

 法定時間外労働は、時間外・休日労働(36)協定で定めた延長時間の範囲内でさせることができます。原則、限度時間である月45時間、年360時間が上限です。特別条項を付けることで、年6月まで、この時間を超えた延長時間を設定できます。この場合でも、時間外・休日労働の合計で月100時間未満、時間外労働で年720時間以下とする必要があります(労基法36条5項)。さらに、労働者個人の実労働時間について、時間外・休日労働を合わせて単月100時間未満、2~6カ月平均80時間以内とする必要があります(6項2、3号)。

 一部事業・業務では、これらの規定が猶予されています。自動車運転の業務(法附則140条)については、特別条項付き36協定を締結・届出する場合、年間の時間外労働の上限が960時間となります。さらに、…

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2025.04.25 【労働基準法】

有害業務の残業2時間まで? 退職者いて対応困難 シフトを組み対応予定

キーワード:
  • 労働時間関係
  • 時間外労働
Q

 当社部署の中に、冷凍食品を貯蔵・搬出する業務があります。こうした業務の場合、1日の時間外上限が2時間に制限されています。しかし、当該部署で退職者が相次ぎ、仕事のやり繰りが厳しくなっています。交替制を採ることも検討していて、上司から、「他部署の人員と組み合わせ、シフトを組んで対応する」という案を示されましたが、問題ないでしょうか。【茨城・T社】

A

1日10時間まで可能に

 通常の業務繁忙を理由とする時間外労働は、時間外・休日労働(36)協定を結んで対応します。しかし、「坑内労働その他健康上特に有害な業務」については、時間外について特別な規制(1日の上限2時間)が課されています。「その他」の業務は労基則18条で列挙されていて、2号に「多量の低温物体を取り扱う業務および著しく寒冷な場所における業務」が挙げられています。

 法36条6項では、このほか…

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2025.04.25 【労働基準法】

代替休暇は何の効果が? 月60時間超時間外へ代え

キーワード:
  • 休憩・休日関係
  • 時間外労働
Q

 労使協定を見直し中で、月60時間超の時間外労働に関する代替休暇の協定をみつけました。利用者がほぼおらず破棄しようと思いますが、残す利点などあるでしょうか。【岩手・A社】

A

意向あれば賃金調整可能 取得不可確定時に支払う

 労基法は、月60時間を超える法定時間外労働に対し、通常の労働時間の賃金額の5割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならないとしています(法37条1項ただし書き)。一方で、この割増賃金の一部に代えて、同条3項に基づく代替休暇を与えることもできます。

 代替休暇に代えるには、労使協定の締結が必要です。締結事項は、…

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2025.04.15 【労働基準法】

一切命じられない? 妊産婦から時間外免除

キーワード:
  • 女性及び年少者関係
  • 時間外労働
Q

 妊娠した女性がいて、時間外労働の免除の請求がありました。これから繁忙期を迎えることもあり、「1時間程度なら応じたい」とありましたが、請求があれば残業をまったくさせないことが必要なのでしょうか。また、どうしても必要という場合に残業を命じることはどうですか。【岩手・S社】

A

部分的な制限認める通達も

 妊娠中の女性および産後1年を経過しない女性(妊産婦)については、請求があった場合、時間外・休日労働(36)協定や災害等による臨時の必要がある場合にかかわらず、時間外・休日労働をさせてはならないとしています(労基法66条2項)。深夜業をしないことも請求できます(同条3項)。

 これらの請求は、時間外・休日労働だけ免除を求めるようなものに加え、たとえば深夜業は制限の対象に含めるが、…

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