『残業代』の労働実務相談Q&A

2025.05.13 【健康保険法】

本採用後の改定が必要か 試用期間中は残業なし

キーワード:
  • 割増賃金
  • 時間外労働
  • 残業
  • 残業代
Q

 採用した従業員の試用期間を3カ月に設定しています。試用期間中は残業を命じないことをあらかじめ本人に伝えています。晴れて本採用に至った後に残業を命じて、実時間に応じて時間外割増賃金を支払うときに、社会保険の報酬月額を改定する必要があるのでしょうか。【広島・U社】

A

「手当新設」には当たらず 入社時に取得手続きを

 健康保険の被保険者資格は、適用事業所に使用されるようになった日から資格取得します(健保則35条)。「適用事業所に使用されるようになった日」とは、事実上の使用関係が発生した日であるため、試用期間であっても被保険者資格を取得すると解されています(健康保険法の解釈と運用)。

 試用期間中は残業がなく本採用後に残業が可能となり、はじめて残業代が発生したとします。その後3カ月間の報酬の平均額と、資格取得時に決定した報酬を比べて2等級以上の差が生じた場合に、随時改定の要件に該当するのでしょうか。

 改定の対象になるのは、…

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2024.11.11 【健康保険法】

遅延損害金に保険料!? 残業代計算で誤り発生

キーワード:
  • 残業
  • 残業代
Q

 残業代計算で誤りがあり、再計算して支払うことにしました。従業員は、支給が遅れた分、遅延損害金が発生するのではないかといいます。仮に、遅延損害金を支払うと、社会保険料の計算において、報酬等という扱いになるのでしょうか。【千葉・I社】

A

労働の対償外と判断も

 報酬や賞与となるのは、労働者が労働の対償として受けるという条件を満たす必要があります(健保法3条5、6項)。

 労働の対償でないものとして、従業員が立て替えた旅費(出張旅費に関して、昭32・8・6保文発6737号)や会社が恩恵的に支給した見舞金(昭18・1・27保発303号)などがあるとされています。

 一括支給した遅延損害金は労働の対償といえず、…

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2022.09.05 【健康保険法】

残業代を含めるか 適用拡大の8.8万円

キーワード:
  • パート
  • 残業代
Q

 令和4年10月以降の社会保険の適用拡大について、週20時間以上働くパートですが、残業代は8.8万円に含まないとの理解で正しいですか。【宮城・K社】

A

除外賃金は 「所定外」に

 被保険者となることができない者が、健保法3条等に列挙されています。同条9号ハに報酬に関する要件があります。すなわち、厚生労働省令で定めるところにより、法42条1項の規定の例により算定した額が、8.8万円未満としています。ここでいう報酬から、最低賃金法(略)4条3項各号に掲げる賃金に相当するものとして厚生労働省令で定めるものを除きます。省令は健保則23条の4を指し、ここに「所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金」があります。…

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2018.03.07

役職手当は除外賃金か 割増算定基礎を計算 時間外見合いと取り扱う

キーワード:
  • 労働基準法
  • 名ばかり管理職
  • 残業代
  • 賃金関係
Q

 「名ばかり管理職」と認定された場合、未払い残業代の清算が必要という記事を読みました(本紙平30・2・12付3148号16面)。その記事中に、「役職手当が時間外見合い分と認められれば、割増賃金の算定基礎から除かれる」という説明があります。役職手当は除外賃金項目に該当しませんが、役職手当抜きで単価を算定して問題ないのでしょうか。【山口・B社】

A

「通常の時間分」に含まず

 下級管理職に昇職し役職手当が付加されたものの、時間外割増賃金等が支払われていなかったとします。管理職性が否定されれば、時間外労働等に相当する割増賃金が未払いとみなされます。

 割増賃金は、「通常の労働時間または労働日の賃金の計算額」に割増率を乗じて計算します(労基法37条1項)。…

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2018.02.14 【労働基準法】

役職手当を割増分に? グレーな管理職へ支給 法41条適用ない場合を想定

キーワード:
  • 残業代
  • 管理監督者
  • 賃金関係
Q

 時間外割増等の適用外としていた管理職について、労基法で定める「管理監督者」に該当しないと判断されたとします。未払いの残業代の清算が必要になりますが、役職手当として払った分を「時間外見合い」として差引き調整が可能でしょうか。「役職手当の支給を受ける役職者には、割増賃金を支給しない」と規定していた場合、どうでしょうか。【大阪・D社】

A

長時間労働の合意無効も

 労基法では、「監督もしくは管理の地位にある者」に対し、労働時間・休憩・休日に関する規定の適用を除外しています(41条2号)。しかし、下位の役職者について、「管理監督者」性を否定する裁判例等が少なくありません。

 この場合、未払いの割増賃金の処理が実務的な問題となります。…

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