労経ファイル 2015年11月1日 第622号
巻頭資料
厚生労働省「平成28年度労働政策の重点事項(案)」
厚生労働省が労働政策審議会に示した「平成28年度労働政策の重点事項(案)」では、育児介護休業法と男女雇用機会均等法の改正法案を来年の通常国会に上程することを盛り込んでいる。前者は主に介護離職防止に向けて休業日の分割取得や対象家族の拡大を図るもので、後者は妊娠・出産を理由とする不利益取扱い、いわゆるマタニティハラスメント防止に関し法的対応を講じつつ事業主の取組強化をめざす。また労働者のキャリア形成支援に「セルフ・キャリアドック」(仮称)の創設を予定している。職業生活の節目での能力の棚卸しを奨励するもので、新たな助成金も用意する。
行政資料
厚生労働省「改正労働者派遣法の附帯決議等関係資料」
届出制による特定労働者派遣事業を廃止し、労働者派遣法の枠組みを「許可制」に一本化する改正法が9月30日に施行された。施行日の繰り延べや法案自体への修正が加えられたほか、改正法に関する省令や告示に影響を与える国会での附帯決議が行われた。本欄では改正法の概要で主なポイントを概観した上、法案の改正に関する修正案要綱や、キャリア形成支援制度などを加えた新・労働者派遣事業の許可基準、国会審議を踏まえた派遣元・派遣先指針の改正点の要約、参考資料として39項目に及ぶ附帯決議を紹介する。派遣期間制限の仕組みは単純化されたものの、努力義務を含め元・先に多くの義務規定がついた。
提言要望
全日本トラック協会「長距離輸送と労働時間規制の在り方についての提言」
全日本トラック協会(会長:星野良三会長)は「長距離輸送の実態と労働時間規制の在り方についての提言」をまとめた。法定外労働時間の割増率50%以上の適用猶予措置の対象となる中小企業を多く抱える同協会が、猶予措置廃止への対処策を先取りすべく労働政策小委員会を設置し、労使双方への調査などを通じた1年間の検討結果に基づくもので、厚労省の改善基準告示に関しては11項目の規制が長距離輸送に関して影響があると指摘した。長時間労働の背景には荷主都合による発注がある現状を訴え、積極的な荷主勧告制度の発動や監督指導、荷主への改善告示などの周知・法令遵守に向けた取組を講じるべきとしている。
調査資料
厚労省「平成26年労働争議統計調査」
平成26年1年間に発生した労働争議は495件で、5年連続して減少し、58年間で最も少なかった。厚労省の労働争議統計調査結果で、ストライキなど争議行為を伴う争議は、前年より9件増の80件、行為参加人員は同2.2倍の27,919人だった。半日以上の同盟罷業は4件減の27件で、ここ6年間で最も少ないが、労働損失日数は前年比2.8倍強に相当する19,932日に達している。
厚生労働広報
労働者派遣法の一部改正法律・同政令・省令
労働者派遣法の一部改正法律(法律第73号)、同法施行に伴う関係政令整備・経過措置政令(政令第340号)および同法施行に伴う厚生労働省関係省令整備・経過措置省令(厚生労働省令第149号)。特定労働者派遣事業(届出制)と一般労働者派遣事業(許可制)の区別を廃止し、全ての労働者派遣事業を許可制にするとともに、雇用安定措置やキャリアアップ措置を派遣元に義務付けた。また派遣期間の規制を事業所単位と個人単位の2本立てとし、前者は同一事業所の派遣受入の上限を3年とし、過半数労働組合からの意見聴取でさらに3年延長でき、後者は派遣先の同一の組織単位(課)での受入の上限を3年とし、別の組織単位に異動して仕事を継続できる仕組みに。派遣元・派遣先指針についても改正された。
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