労経ファイル 2017年5月1日 第640号
巻頭資料
働き方改革会議「働き方改革実行計画」
政府は、働き方改革実現会議の最終会合を開き、「①残業時間の上限規制」と、「②同一労働同一賃金」を主な柱とする「働き方改革実行計画」を決定した。①については、繁忙期も含めた年間の上限を720時間(月平均60時間)、極めて繁忙な1カ月の上限を100時間未満とする。人手不足が深刻な運送業と建設業については、規制の適用を5年間猶予し、5年後に運送業は年960時間(月平均60時間)、建設業は原則一般の業種と同じ規制を設ける。②では、実効性を確保する法制度とガイドラインを整備することを明記。待遇差の理由を説明する義務を企業に課すことも盛り込まれた。①②以外も含む全9分野19施策の工程表(ロードマップ)も示した。
提言・要望
経済同友会「『働き方改革』に関する主要論点に係る意見」
経済同友会は「働き方改革実現会議」の主要理論点に対する考え方、今後の改革方向性についての意見を発表した。「時間外労働の上限規制」では、年720時間を上限に設定。そのなかで2~6カ月平均で月80時間を一つの目途とし、これを超えた場合、割増賃金率を2.0とするまたは産業医面談を義務付けることを提案。「同一労働同一賃金」では、各社において待遇差の合理的理由を明確にしたうえで、労使で協議するような自主的プロセスを重視すべきとした。改革を通じて、柔軟な働き方を整備し、働く一人ひとりの活力と主体性を引き出すことで、企業の生産性向上と新しい価値創出力強化に結び付けていかなければならないとしている。
行政資料
厚生労働省「平成28年度過重労働解消キャンペーン重点指導結果」
厚生労働省は、昨年11月に実施した「過重労働解消キャンペーン」における重点監督の実施結果をまとめた。長時間労働による過労死等に係る労災請求がなされた事業場、若者の使い捨てが疑われる事業場など7,014事業場が対象。前年度5,031事業場から大幅に増大している。67.2%に当たる4,711事業場で労働基準法違反を確認し、違法な時間外・休日労働があった2,773事業場に是正勧告書を交付した。このうち、43.1%に当たる1,196事業場で月100時間を超えていた。このほか、459事業場が賃金不払い、728事業場で健康障害防止措置が未実施だった。併せて、監督指導事例、企業が実施した長時間労働削減のための自主的な取組事例を公表。
調査資料
厚生労働省「平成28年賃金構造基本統計調査(都道府県別)」
平成28年賃金構造基本統計調査の都道府県別集計によると、一般労働者・男性の所定内給与額は、関東圏では茨城を除きダウン、最高額の東京も41.17万円で微減。東京の建設業、製造業では、男性が順に45.8万円(4.3万円増)、40.9万円(1.2万年減)、女性が28.2万円(800円増)、33.8万円(3.8万円増)となった。短時間女性の1時間当たり賃金は前年と同様、17地域で1,000円台に。
厚生労働広報
建設業の職長等の能力向上教育に準じた教育〈通達〉
職長等の能力向上教育に関するカリキュラムが定められた。教育を実施する事業者等の指導援助を求めた厚労省労働基準局長名による各労働基準局宛て通達を掲載する。カリキュラムでは、グループ演習が130分設けられている。平成3年の「安全衛生教育推進要綱」では、職長等に対し、概ね5年ごと、機械設備等に大幅な変更があったときに教育を実施すべきとしていたが、その内容や時間等は明確ではなかった。安全衛生責任者は職長等よりも30分長い時間が設定された。
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