労経ファイル 2019年7月1日 第666号
巻頭資料
法務省「出入国在留管理基本計画」
法務省は4月、新たな「出入国在留管理基本計画」を策定した。高度外国人材の受入れ推進や、新在留資格「特定技能」制度の円滑な運用、留学生の適正な受入れ促進を図る。特定技能制度においては、地域ニーズを踏まえ大都市圏に集中しないために必要な措置を講じる必要があり、適正運用に向け、受入れ機関や登録支援機関に対する調査に基づき指導等も的確に実施していくとした。技能実習制度の一層の適正化に向けては、送り出し国との二国間取り決めの作成を進めるとともに、取組みが不十分な国については、厳格な審査を行うとした。技能実習生に対しては、母国語相談や宿泊支援等のサポートの周知と活用拡大を図る。基本計画の対象期間は2年程度で、その時点の状況を踏まえ、次回の基本計画を策定する。
提言・要望
経団連「採用と大学教育の未来に関する産学協議会・中間まとめと共同提言」
日本経団連と大学関係者で構成する「採用と大学教育の未来に関する協議会」が中間とりまとめを公表した。Society5.0時代に求められる人材の育成に必要な大学教育、企業の採用のあり方などについて、産学協働で取り組む課題と具体策をまとめ共同提言を行った。従来の新卒一括採用に加え、専門スキルを重視し、新卒、既卒を問わず通年で採用する「ジョブ型採用」も含めた「複線型で多様な採用形態に秩序を持って移行すべき」とした。多様なインターンシップが実施されるなか、本来の目的・意義・内容などの共通認識を産学で確立すべきと提言。ワンデー型は、教育的意義を持つ本来の制度と区別すべきと指摘。
行政資料
厚生労働省「平成30年労働災害発生状況」
平成30年の労働災害による死亡者数は909人(前年比69人、7.1%減)となり過去最小を記録した。休業4日以上の死傷者数は127,329人(同6,869人、5.7%増)となり3年連続の増加。死亡災害では、昨年減少していた製造業のみ、輸送用機械等製造業や化学工業での災害が増加したこと等を受け183人(同23人、14.4%増)へと増加に転じた。事故の型別では、死亡災害で「墜落・転落」が226人で最多、「交通事故」(175人)、「はさまれ・巻き込まれ」(113人)が続く。死傷災害は「転倒」が31,833人で最多。死傷災害のうち、腰痛などの「動作の反動・無理な動作」が最も多いのが社会福祉施設で3,186人に達した。
調査資料
中労委「平成30年賃金事情等総合調査」
大企業の賃金実態を調べている中央労働委員会の「平成30年賃金事情調査」によると、大卒総合職のモデル所定内賃金は22歳21.9万円、35歳40.2万円、ピークの55歳で61.8万円の水準となった。35歳までの若年層で1%台の改善がみられた一方、高齢者層は落ち込んでいる。これに対し、高卒・生産労働者のモデルは全年齢で1%以上改善し、50~60歳では4%の伸び率を示した。
経団連・東京経協「2018年9月度退職金・年金実態調査」
経団連と東京経協が共同実施する隔年調査の結果によると、60歳定年時のモデル退職金額は、総合職・大卒が2,256万円、生産・現業労働者の高卒が1817万円だった。支給月数は、順に38.2カ月、46.0カ月である。退職金額の算定にポイント方式を用いる企業が7割まで上昇し、別建て方式を採る企業は全体の84%に増加した。年金制度では、確定拠出年金(企業型)の導入割合が68%に上昇。
厚生労働広報
健康保険法等の一部改正法律について(通達)
「医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律(法律第9号=5月22日公布)」の施行通達。被扶養者等の要件の見直し(被用者保険の被扶養者等の要件について、一定の例外を設けつつ、原則として、国内に居住していること等を追加する)、国民健康保険の資格管理の適正化(市町村による関係者への報告徴収権について、新たに被保険者の資格取得に関する事項等を追加する)など。さらに、オンライン(電子)資格確認の導入に際し、資格確認の方法を法定化するとともに、個人単位化する被保険者番号について、個人情報保護の観点から、健康保険事業の遂行等の目的以外で告知を求めることを禁止(告知要求制限)する。そのほか、医療及び介護給付の費用の状況等に関する情報の連結解析及び提供に関する仕組みの創設、市町村において高齢者の保健事業と介護予防を一体的に実施する枠組みの構築、被扶養者の要件の適正化、社会保険診療報酬支払基金の組織改革等の措置を講ずる――など。
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