労経ファイル 2017年1月1日 第636号
巻頭資料
厚労省「産業医制度の在り方に関する検討会報告書」
厚生労働省は、「産業医制度の在り方に関する検討会報告書」(案)をまとめた。過重労働による健康障害対策、メンタルヘルス対応、疾病治療と職業生活の両立支援対策など労働者の健康確保対策の多様化に対応するため、産業医を中心に、歯科医師、看護職、衛生管理者、心理職などが産業保健チームを形成し、連携して取り組む必要性を訴えている。医師による面接指導を充実させるためには、対象労働者の業務に関する情報提供を事業者に義務化すべきとしている。平成27年12月にストレスチェック制度が導入されるなど、産業保健における主要課題が変化・多様化し、産業医や労働衛生管に求められる役割も変わりつつあるとの基本認識がある。
提言・要望
経団連「外国人材受入促進に向けた基本的考え方」
経団連は、わが国が本格的な人口減少社会を迎えるなか、外国人人材の受入れ促進は不可欠として、技能実習・入管法の改正等も踏まえ、今後の外国人材受入促進に向けた基本的考え方を提言した。高度人材や留学生にとっての日本の魅力向上やグローバル企業の人事の円滑化に資する施策としては、「高度人材ポイント制の拡充」(高度外国人材グリーンカード等の推進)、「現行の在留資格『企業内転勤』の要件緩和」、「留学生の就職支援強化」などを挙げている。社会基盤人材の受入れでは、産業個別のニーズに応じて受入対象の拡大、受入期間の延長を求めた。企業には、長時間労働の是正など就労環境の充実が求められるとした。
行政資料
国土交通省「貸切バス事業における運転者教育対策の基本的方向性」
国交省の「自動車運送業に係る交通事故対策検討会」が、貸切バス事業における運転者教育対策の基本的方向性をまとめた。平成28年1月15日に発生した軽井沢スキーバス事故を受け、初任運転者教育の強化が重点テーマに挙げられていた。今後、同方向性に沿って旅客事業者が運転者に対して行う指導・監督指針の改正が行われる。中身は「初任運転者等への指導で20時間以上の実技訓練を義務付け」「座学時間の延長(6時間→10時間)」「運転者に直近1年間に乗務していない車種区分の貸切バスを運転させる場合、初任運転者等と同様の実技訓練を義務付け」「ドライブレコーダーの装着及びこれによる映像の記録や当該記録を活用した指導・監督を義務付ける」など。
調査資料
経団連「2015年度福利厚生費調査」
2014 年度に企業が従業員1人1カ月当たりに負担した福利厚生費は、108,389 円(前年度比 2.0%増)となり、過去最高額となった昨年の記録を更新した。大手企業中心の経団連の定期調査で明らかになった。福利厚生費のうち、「法定福利費」は、83,500 円(同 2.8%増)となり、5年連続増加している。「法定外福利費」は抑制傾向が続き、24,889 円(同0.5%減)となった。
厚生労働広報
厚生労働省「機能安全による機械等に係る安全確保に関する技術上の指針」ほか
厚生労働省では、従来の機械式の安全装置に加え、新たに機械等に電気・電子・プログラマブル電子制御の機能を付加することにより、当該機械等による労働災害のリスクを低減するための措置(機能安全)を活用した機械等の安全確保を推進している。本欄では、これに伴う改正告示、通達等3本を掲載する。①は、労働安全衛生法第28条第1項の規定に基づき、「機能安全」による安全確保のための必要な基準等について制定した上記技術指針。他の2つはボイラー関係の通達――②「 ボイラー及び圧力容器安全規則及び労働安全衛生法及びこれに基づく命令に係る登録及び指定に関する省令の一部改正(指定外国検査機関関係を除く。)等について」(平成28年9月30日付け基発0930第32号)。③「ボイラーの遠隔制御基準等について(平成15年3月31日付け基発0331001号。平成28年9月30日付け基発0930第35号により一部改正)。②では、異常時に自動停止する機能を持つ自動制御装置で、厚労相の定める技術上の指針に適合していると所轄労基署長が認定したものには、水面測定装置の点検頻度を1日1回以上から3日に1回以上にすることができるように安全規制の高度化を図る。
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