労経ファイル2020年2月1日付第673号
巻頭資料
厚生労働省「高年齢労働者の安全と健康に関する有識者会議」報告書(案)
厚労省の設置した「人生100年時代に向けた高年齢労働者の安全と健康に関する有識者会議」が報告書(案)をまとめた。70歳までの就労促進に向け、労働災害防止対策や予防的観点からの労働者の筋力強化等の身体機能の維持・向上のための健康づくりなどについて先進企業へのヒアリングを実施したうえで調査分析を行い、取り組むべき課題等を明示した。厚労省は同報告書を基にガイドラインを作成し企業に取組みを促す。盛り込むべき事項に「経営トップによる方針表明と体制整備」、「リスクアセスメントの徹底」、身体機能の低下を補う設備等の導入などの「職場環境の改善」、健診や体力チェックなどによる「健康や体力の把握」とこれを踏まえた作業時間の設定などの「配慮」、丁寧な「安全衛生教育」の実施を挙げた。
行政資料
厚生労働省「雇用保険法等の一部改正案要綱および関係報告・資料」
厚労省は、令和2年通常国会に、雇用保険法、徴収法、高年法、労働施策総合推進法、労災法等を一括改正する法案を提出する。昨年末に労働政策審議会の各分科会等の報告に基づき集中的に建議が出されたのを受け、「雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱」を策定したもの。内容は多岐にわたるが、本誌では、同法案要綱と関連する報告・資料を掲載する。令和2年度以降も2年間、雇用保険率の低減措置(原則1000分の9)を継続し、7年度から高年齢雇用継続給付の給付率を引き下げる。雇用保険・労災保険の双方についてダブルワーカーの保護を強化する一方で、高年法の改正により70歳までの就労確保を努力義務化――などが盛り込まれた。
調査資料
厚生労働省「労働組合基礎調査」
厚労省「労働組合基礎調査」によると、令和元年6月30日現在の労働組合員数は1,008.8万人で、前年より1.8万人(0.2%)増加したものの、雇用者数の伸びが上回り、推定組織率は過去最低値を更新する16.7%となった。女性組合員数は、前年より2.8万人(0.8%)増加。パートタイム労働者の組合員数は133.3万人に増加し、全組合員数に占める割合は13.3%に拡大。
厚生労働省「平成30年若年者雇用実態調査」
平成30年10月1日現在の全労働者に占める若年労働者の割合は27.3%で、5年前より1.3%減少した。内訳は、正社員17.2%、正社員以外10.2%。若年労働者の定着対策を行っている事業所割合はいずれでも増加しており、双方で「職場での意思疎通の向上」が最も高い。採用時、35~44歳でも55%がフリーターであったことのマイナス評価をほとんどしないと回答。実際の採用率は2%に。
厚生労働広報
「派遣先の均等・均衡方式に関するQ&A」
厚労省が策定した「派遣先の均等・均衡方式に関するQ&A」(令和元年12月26日)」。働き方改革関連法に基づく改正派遣法により、①派遣先均等・均衡方式(派遣先の通常の労働者との均等・均衡待遇の策定確保)または②労使協定方式(一定の要件を満たす労使協定による待遇の確保)のいずれかの待遇決定方式により、派遣労働者の待遇を確保することが、派遣元事業主の義務とされた(令和2年4月1日施行)。すでに第2集が公表されている②に続き策定された①の方式では、派遣先は、派遣元に対し、「派遣労働者が従事する業務ごとに、比較対象労働者の賃金その他の待遇に関する情報その他の厚生労働省令で定める情報を提供しなければならない」とされており、「比較対象労働者の待遇等に関する情報の提供」についてのQ&Aが大半を占める。業務の内容が複数あるときは、原則、業務ごとの比較労働者の待遇情報を提供することが必要とした。その他、「派遣先の通常の労働者との均等・均衡待遇の確保のための措置」、「待遇に関する事項等の説明」、「福利厚生施設、就業環境の確保等」について取り上げている。なお、①の「労使協定方式」のQ&Aについては、本誌2019年10月号「巻頭資料」欄で第1集、2020年1月号「広報」欄で第2集を掲載済み。
障害者雇用対策基本方針の一部改正告示
厚生労働大臣が、障害者の雇用の促進等に関する法律第7条第1項の規定に基づき、障害者の雇用の促進及びその職業の安定に関する施策の基本となるべき方針としてまとめた「障害者雇用対策基本方針」の一部を改正する告示(令和元年厚生労働省告示第197号)」が12月17日付けで公布された。平成30年度から令和4年度までの5年間を運営期間とした障害者雇用対策基本方針が平成30年3月30日に告示されているが、今回、国及び地方公共団体における障害者雇用率制度の対象障害者の不適切な計上事案を踏まえた対応や、障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律の内容を反映するために、必要な改正が行われた。令和2年度から開始する「中小事業主の認定制度」の普及や所定労働時間10時間以上20時間未満の障害者を雇用する事業者に対する納付金制度に基づく「特例給付金」等も盛り込まれている。改正後の基本方針の適用は、令和2年4月1日から。
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