労経ファイル 2019年10月1日 第669号
巻頭資料
厚生労働省「派遣労働者の同一労働同一賃金・労使協定方式に関するQ&A」
厚労省は来年4月施行となる改正派遣法における派遣労働者の同一労働同一賃金について、労使協定方式による派遣労働者の待遇確保に関するQ&Aを公表した。労使協定を締結する際の過半数代表者の選出方法のほか、基本給・賞与・手当等、通勤手当、退職金の扱いなどについて詳解。労使協定には、協定対象派遣労働者の賃金に加えて、その比較対象となる一般賃金の額も記載する必要があるとした。労使協定の有効期間中に、一般賃金の額が変わった場合には、協定を締結し直さなければならない。能力・経験調整指数については、派遣労働者の勤続年数を示すものではなく、例えば職務給の場合、業務内容、難易度等が一般労働者の勤続何年目に該当するかを労使で判断するとした。
提言・要望
経済同友会「企業と人間社会の持続的成長のためのSDGs」
経済同友会「持続的な開発目標(SDGs)研究会」が提言をまとめた。国連の掲げる「持続可能で多様性と包摂性のある社会実現へ、国際社会が2030年までに達成をめざす17の開発目標」に対し、各企業・個人が取り組むべき具体策を示した。『貧困』『保健』『教育』『エネルギー』『経済成長と雇用』『持続可能な生産と消費』など17項目の課題解決に向け、自社の企業理念や強みを活かし価値創造に取り組むことが企業によるSDGs実践の基本。経営者自身が理解し、企業戦略・計画・目標に落とし込み、個々の社員の挑戦を後押しし評価に反映する仕組みづくりが必要とした。事例として、顧客が抱える問題を発見しビジネスプランに落とし込む能力を高めるネスレ日本の「イノベーションアワード制度」などを紹介。
行政資料
厚生労働省「平成30年外国人技能実習生の実習実施者への監督指導、送検等の状況」
厚労省は、全国の労働局や労働基準監督署が、平成30年に技能実習生の実習実施者(受入れ事業場)に対して行った監督指導や送検等の状況をまとめた。監督指導を実施した7,334事業場のうち70.4%に当たる5,160事業場で労働基準関係法令違反が認められた。主な違反事項は、「労働時間」(23.3%)、「使用する機械に対して講ずべき措置などの安全基準」(22.8%)、「割増賃金の支払い」(14.8%)の順に多かった。技能実習生からの申告件数は103件(前年89件)に増加。重大・悪質な違反が認められた事案として労働基準監督機関が送検した件数は19件(前年34件)に減少。調査では、監督・申告・送検それぞれの指導・捜査事例も計7件紹介されている。
調査資料
人事院「平成31年職種別民間給与実態調査」
人事院「民間給与実態調査」によると、課長級の平均所定内給与額は、事務系57.2万円、技術系58.3万円だった。前年に比べて事務系では課長が3.0%減、部長が1.4%減と低下し、技術系では非管理職層に0.7~3.1%の落ち込み。500人以上で部課長級に逆転現象がみられた。大卒初任給は、事務系が20.2万円(前年比0.3%増)、技術系20.6万円(1.0%増)となり、ともに6年連続で上昇した。
厚生労働広報
「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」について(通達)
「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(平成14年4月5日付基発第0405001号)の現代版として発出された「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(令和元年7月21日付基発0712第3号)についての施行通達。一般になじみがないVDT(Visual Ðisplay Terminal)の用語を「情報機器」に置き換え、ガイドラインの考え方そのものは変更せず、情報技術の発達や、多様な働き方に対応するよう健康管理を行う作業区分を見直したうえ、最新の学術的知見を踏まえ、新ガイドラインを示した。各事業場は、個々の作業者の特性に応じた情報機器、関連什器等を整備するほか、情報機器作業の実態に基づいて作業負担の少ない業務計画を策定する等、細かく配慮することが望ましいとしている。作業区分を、原則「①作業時間又は作業内容に相当程度拘束性があるもの(全員健診対象)」と「②それ以外のもの(自覚症状を訴える者のみ対象)」に分けて必要な措置を講じる。①のプログラミングやデータ入力作業者等の全員に配置前健診と定期健診を実施し目の状態などを検査するよう求めた。
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