労経ファイル 2014年8月1日 第607号

巻頭資料

厚生労働省「がん患者等就労支援のあり方検討会報告書(案)」

国民の2人のうち1人ががんに罹る確率となる一方、治療法の進歩により生存率も改善しているが、罹患勤労者の34%が退職・解雇などで職場を去っている――こうした現状を踏まえ、治療と職業生活の両立を図る方向性を探った厚生労働省の「がん患者・経験者の就労支援のあり方に関する検討会」(座長:堀田知光国立がん研究センター理事長)が報告書(案)をまとめた。企業に向けては、就労上の課題を把握し、相談を通じて病気に関する情報を共有し、治療や検診受診のための時間単位・半日単位の休暇や短時間勤務制度の導入を検討するよう求めている。

 研究報告

法務省「技能実習制度の見直しの方向性検討結果」

法務省の外国人受入れ制度検討分科会(分科会長:多賀谷一照獨協大学法学部教授)は「技能実習制度の見直しの方向性に関する検討結果(報告)」をまとめた。同制度が単純労働者の受入れ手段に利用され、労働法令違反や実習生への人権侵害が相変わらず頻発していることから、関係行政機関の監督・摘発の強化など監理団体や実習実施機関への監視体制を向上させ、罰則の整備や不適正団体名の公表制度も検討すべきとする一方、優良機関に限定して、一定の要件を満たす実習生のより高度の技能習得期間として2年程度の期間延長または再実習の制度化を打ち出している。対象職種の拡大については、多能工化や技術の進歩を踏まえて「追加を認める方向で見直しを行う必要がある」とした。

行政資料

厚生労働省「平成25年度脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況」

平成25年度に脳・心臓疾患に関する、いわゆる過労死による労災請求は784件で、2年連続で前年度を下回り、支給決定件数も32件減の306件で、3年ぶりに減少した。支給決定件数のうち運輸業,郵便業が35%を占め、年齢別では50~59歳が35.3%、1か月の残業80時間以上が9割に上っている。一方、精神障害に関する労災請求は1,409件で過去最多を記録したものの、支給決定件数は過去最多だった前年から39件減り、4年ぶりに減少した。30~39歳の支給決定件数が36.9%に上り、出来事の類型では「仕事の量・質」が23.9%を占め、出来事別では「仕事内容・量の変化」と「ひどい嫌がらせ・いじめ」がともに20.4%となっている。

厚生労働広報

 改正労働安全衛生法・通達

ストレスチェックの実施義務付けや、重大な労働災害を繰り返す企業への企業単位での改善を図る仕組みを創設した「労働安全衛生法の一部を改正する法律」が6月25日に公布された。ストレスチェックを受けた労働者の希望に応じて、事業者は医師による面接指導の実施、必要な場合には就業上の措置を講じることとした。また事業場単位の労働災害防止指導を企業単位に拡大する措置では、特別安衛改善計画の作成・変更指示、指示に従わない場合の勧告や企業名公表の制度を明文化している。このほか受動喫煙防止対策の努力義務規定、建設物や機械などの新設時の事前計画届出の廃止、外国籍検査機関の登録などの措置を講じている。本欄では、同改正法の公布に合わせて厚生労働省が都道府県労働局長に示した通達も併載した。 

改正行審法関係法律整備法(労働法令関係)

国や地方公共団体による行政処分に関し、国民がその見直しを求め、行政庁に不服を申し立てる行政不服審査制度を定めた行政不服審査法が全面改正され、公正性の向上、使いやすさの向上、救済手段の充実・拡大が図られた。これにあわせて関係法律を整備することを目的とした新法で、厚生労働省関連のうち労働法関係の、労働保険審査会法、労災補償保険法は①不服申立ての二重前置の廃止、②審査請求期間を60日から3月に延長、③口頭意見陳述の充実、④審査請求人等による物件の閲覧などを盛り込み、労働保険徴収法と石綿被害救済法も①異議申立て、②不服申立てを廃止した。審査請求に対する決定後、再審査請求を経ずに出訴が可能。施行日は「公布の日から2年を超えない範囲内において政令で定める日」とする改正行審法に合わせる。

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労経ファイル 第607号 (2014年08月01日号)

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