労経ファイル 2017年10月1日 第645号
巻頭資料
厚労省「平成30年度予算概算要求の主要事項」
厚労省「平成30年度予算概算要求」が発表された。一億総活躍社会の実現に向けた要求のうち、本欄では、重点事項である働き方改革や人材投資・生産性向上の取組みの促進に関係する項目を紹介する。「同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善」では、業種別の導入マニュアルを作成し、周知を図る。非正規労働者の処遇改善や過重労働防止に資する時間外労働上限規制への対応に向けては、47都道府県に「働き方改革推進支援センター(仮称)」を設置し、専門家による個別相談援助や電話相談等を実施する。「女性等多様な働き手の参画」においては、リカレント教育などの講座の多様化を進め、65歳以降の雇用に取り組む企業への助成措置も拡充へ。
研究報告
厚生労働省/中企庁「中小の『働き方改革』実現に向けた対策案」
政府方針の「働き方改革実行計画」に基づき、課題が多い中小以下規模企業の取組み推進をめざし、厚労省と経済産業省は「中小企業・小規模企業の働き方改革・人手不足対応に関する検討会」を立ち上げた。本欄では、厚労省・中小企業庁において検討中の対策案を紹介する。非正規雇用労働者の処遇改善や過重労働防止に資する時間外労働の上限規制への対応に向けては、巻頭資料でも紹介した「働き方改革推進支援センター(仮称)」の設置のほか、「よろず支援拠点」に「人手不足アバイザー(仮称)」を設置するなど相談体制を整備する。下請法等違反事案への厳正な対応のほか、取引条件の改善など業種別の取組みも推進する。企業の賃金引上げや生産性向上・経営力向上に対し助成措置なども拡充へ。コンサルティングや助成措置により仕事と家庭の両立支援に取り組む企業の支援にも注力する。
行政資料
厚生労働省「平成29年度地域別最低賃金改定額」
厚生労働省は、全ての地方最低賃金審議会が答申した平成29年度の地域別最低賃金改定額をまとめた。改定額の全国加重平均額は、848円(昨年度823円)に上昇。引上げ額は25円で、時給額表記となった平成14年度以降、昨年度と並び最大の引上げとなった。引上げ率に換算すると、政府目標の3%に到達している。900円の大台には、一昨年度に達成した東京(958円)、神奈川(956円)に、同じくAランクの大阪(909円)が加わった。最高額(東京都958円)に対する最低額(高知県・九州6県・沖縄県737円)の比率は76.9%となり、一昨年度から3年連続で改善している。改定額の発効は9月30日から10月中旬の予定。
調査資料
人事院「平成29年職種別民間給与実態調査」
人事院「民間給与実態調査」によると、事務系の平均所定内給与は、係員29万円、課長58.6万円となり、前年に比べ部長以上で落ち込んだが、全体的には1%前後の微増。技術系は、係員29.9万円(2.3%増)、課長58.0万円(2.1%増)は目立って伸びたが、主任、係長は1%台の減少。大卒初任給は事務員、技術者とも4年連続で上昇。定年後再雇用者は係員クラスで1.1万円増の25.3万円に。
厚生労働広報
雇用保険法等の一部改正省令・告示等(雇保法・職安法関係)
改正雇保法・育介法・職安法の平成29年10月以降の施行部分に関して、各法の改正施行規則が公布された。本欄では、前号で10月1日施行の育介法関係を紹介したが、今号では、残りの雇保法、職安法関係を中心に紹介する――〈雇用保険等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う厚労省関係(省令・告示)の整備に関する省令(第66号)・告示(第232号)〉。平成30年1月1日施行となる雇用保険関連では、移転費・教育訓練給付の受給要件が緩和される。ハローワークの紹介だけでなく、職業紹介事業者、特定地方公共団体の紹介による転職も給付対象に。教育訓練給付の申請可能期間は、資格喪失後、最長4年から20年に延長される。職安法関係では、事業者がハローワークに求人を出す際の「労働条件の明示」義務6項目に、新たに3項目(①試用期間に関する事項、②雇用者の氏名・名称、③〈派遣労働者を採用する場合〉派遣労働者として雇い入れる旨)が追加される。裁量労働制・固定残業代制を採るときは、その内容も明示する。従来は、青少年の募集時にのみ対象とされたが、全ての労働者の募集時に拡大される点にも留意が必要だ。
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