労経ファイル 2018年8月1日 第655号
巻頭資料
内閣府「経済財政運営と改革の基本方針2018」
政府は6月15日、「経済財政運営と改革の基本方針2018」(骨太方針)を閣議決定した。少子高齢化が進む中、教育の無償化やリカレント教育を拡充する「人づくり革命」と、成長戦略の核となる「生産性革命」に取り組むとともに、働き方改革を推進する。人手不足解消に向け、新たな外国人人材の受入れ方針も明記。最長5年間の技能実習修了者や一定の専門性・技能を有する外国人人材を最長5年間受け入れる在留資格を創設する。家族帯同は基本的には認めないが、期間中に専門性が認められれば、期間上限を取り除き、家族帯同を認めることも検討。基礎的財政収支の黒字化については、従来目標より5年先送りし2025年度とした。本欄では、全体概要(ポイント)と主要部分を抜粋掲載する。
研究報告
厚生労働省「労働政策基本部会報告書(案)骨子」
中長期的な労働政策課題を検討する厚生労働省の労働政策審議会労働政策基本部会が報告書(案)の骨子をまとめた。多様な働き方が広がるなか、人工知能(AI)を普及させることで、労働力不足を緩和し生産性向上につなげる必要があるとしている。AI等の技術革新に対応できるスキルを持つ労働者と持たない労働者、業種・産業、企業規模間で格差が広がる恐れがあり、中小企業には死活問題になるとして、中小への導入支援を検討すべきとした。雇用型テレワークの導入および実施に当たっては、労務管理を適正に行うとともに、留意点等も周知することが必要とした。兼業・副業、雇用類似の働き方に関する課題として、既存のセーフティネットや労働法制での対応の必要性、働き方の変化と多様性を妨げないような制度のあり方、今後の労働教育のあり方についても提言している。
提言・要望
経産省・協議会「繊維産業における外国人技能実習の適正な実施等のための取組」
経産省が設置した繊維産業関連業界39団体などで構成する繊維産業技能実習事業協議会が技能実習の適正な実施に向けた今後の取組み方針をまとめた。受入れ企業には、業界団体主導で研修会を社内で定期的に実施するとともに、監理団体や業界団体が実施する講習会、説明回等に確実に参加するなど、法令遵守等の徹底を求めた。技能実習生に対する相談窓口の設置、行政手続きや日本語学習等のサポート、交流行事の開催など適切な労働環境や生活環境等を確保する。各団体は、企業の技能実習の実施状況の実態把握を行い適切な指導を行う。発注企業にも、受注企業での実習状況の確認を求めている。
行政資料
厚生労働省「平成29年度過労死等の労災補償状況」
厚労省がまとめた平成29年度の「過労死等の労災補償状況」の集計結果。精神障害に関する労災補償の請求件数は毎年増加しており、平成29年度は1732件で前年度比146件増となった。業務上認定された支給決定件数は昨年度に続き増加し506件となり、過去最多を記録した26年度を上回った。業種別では、請求件数は、「医療・福祉」313件、次いで「製造業」308件。支給決定件数は逆の順番で87件、82件を記録。脳・心臓疾患関係は、請求件数が840件、前年度比15件増、支給決定件数は253件となり7件減。業種別にみると、請求件数、支給決定件数ともに、「運輸業、郵便業」が188件、99件で最多となっている。裁量労働制対象者の精神障害の支給決定件数は10件に増加。8件が専門業務型だった。
厚生労働広報
安衛法施行令の一部改正政令案の施行について(通達)+墜落制止用器具のガイドライン
厚労省は6月22日、「墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドライン」を公表した。高所からの墜落が原因の労働災害防止を推進するため、安全帯(「墜落制止用器具」に名称変更)の安全性の向上と適切な使用等に向けて、関係政省令の一部改正を行った――「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令」(平成30年6月8日政令第184号)、「労働安全衛生規則等の一部を改正する省令」(平成30年6月19日厚生労働省令第75号)、「安全衛生特別教育規程等の一部を改正する告示」(平成30年厚生労働省告示第249号)。いずれも、平成31年2月1日から施行又は適用。同政省令及び告示に規定されている、墜落制止用器具について事業者が実施すべき一連の事項を示したもの。ガイドラインの内容は、墜落制止用器具を使用して行う作業の適用範囲や、墜落制止用器具の選定、使用方法、点検・保守・保管、廃棄方法等で構成している。本欄では、同ガイドラインと改正政省令・告示を説明した都道府県労働局長宛て通達を併せて紹介する。
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