労経ファイル 2015年9月1日 第620号
巻頭資料
厚生労働省「過労死等防止対策に関する大綱」
政府は、「過労死等の防止のための対策に関する大綱」を閣議決定(平成27年7月24日)した。過労死等防止対策法(平成26年11月施行)に基づくもので、①調査研究等、②啓発、③相談体制の整備等、④民間団体の活動への支援の4つの対策を効果的に推進するため、今後3年間程度の取組をまとめている。労災認定の過労死事案などの調査研究を柱としているが、「啓発」カテゴリーでは過重労働や賃金不払残業の疑いのある企業に対しては監督指導を徹底するとしたうえ、過労死等発生事業場には「疾病原因の究明、再発防止策の徹底を指導する」とした。
提言・要望
生産性本部「『守り』から『攻め』へのコーポレートガバナンスの変革」
日本生産性本部の「人と経営フォーラム」(第2期:代表・小島順彦日本生産性本部副会長/三菱商事㈱会長)は企業価値向上のための外部視点・社外取締役の活用のあり方について、「『守り』から『攻め』へのコーポレートガバナンスの変革」と題する提言をまとめた。社外取締役の積極的なかかわりを促す仕組みや環境整備が必要とし、十分な情報提供や社内取締役の意識向上のほか、経営トップと社外取締役による諮問委員会や社外取締役で構成する会議隊の設置、筆頭社外取締役の選任などの工夫を指摘した。活用の成否は「導入企業の経営者の意識や資質にかかっている」とし、トップの意識改革が出発点と位置付けている。
研究報告
厚生労働省「今後の仕事・家庭両立支援研究会報告書(案)」
10年後には団塊世代が75歳に到達し、要介護状態になるケースも予想され、それを支える団塊ジュニアの介護離職を防ぐ施策が必要とする報告書を、厚生労働省の「今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会」(座長:佐藤博樹中央大学大学院戦略経営研究科教授)がまとめた。育児・介護休業法による家族1人につき93日の介護休業の分割取得を提案した。現在は賃金の40%の介護休業給付が受けられるが、利用は原則1回に制限されている。このため、利用割合は1割台前半にとどまっており、企業の中核を担っている団塊ジュニアの介護離職が懸念されるとし、同居親族の要件も含めて休業制度の改正が避けられないとした。総務省から要請のあった特別養子縁組の監護期間や養子縁組里親への育休適用などにも言及している。
調査資料
厚労省・経団連「2015年 春季賃上げ妥結状況」
2015年の春季賃上げ妥結状況が発表された。厚労省の民間主要企業対象の集計では平均妥結額7,367円で、前年の結果を656円上回った。賃上げ率は2.38%で、平成10年以来17年ぶりの水準である。また、日本経団連の大手企業対象の最終集計では、平均妥結額8,235円、率で2.52%だった。ユニオン・レポ欄に収録した連合集計結果は6,354円、2.20%である。
厚生労働広報
特許法の一部を改正する法律(職務発明関係)
経済産業省所管の「特許法の一部を改正する法律」が7月10日に公布された。改正のポイントは、権利帰属の不安定性を解消するため、契約、勤務規則その他で「あらかじめ使用者等に特許を受ける権利を取得させることを定めたときは、権利発生時から使用者等に帰属する」とし、この場合、職務発明従業者等は、「相当の金銭その他の経済上の利益を受ける権利を有する」と明記した。また、相当の対価など、「経済上の利益の内容を決定するための手続に関する指針を定める」としている。
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