労経ファイル 2016年11月1日 第634号
巻頭資料
厚労省「平成29年度労働政策の重点事項(案)」
厚生労働省が労働政策審議会に示した「平成29年度労働政策の重点事項(案)」において、労働分野では、「働き方改革」が最重要ポイントなる。多様な働き方が可能となるよう、社会の発想や制度を大きく転換するという観点から、同一労働同一賃金の実現に向けた非正規雇用労働者の待遇改善、長時間労働の是正、女性・若者・高齢者・障害者等の多様な人材の活躍促進、教育制度強化等の施策が盛り込まれた。出産・育児等から職場復帰する女性のキャリアアップ・生産性向上を支援する教育訓練プログラムを創設。長時間労働の是正へ、36協定における時間外労働規制の在り方も再検討する。
提言・要望
経済同友会「新産業革命による労働市場のパラダイムシフトへの対応」
経済同友会は、「『肉体労働』『知的労働』から『価値労働へ』へ」と副題を付けた提言「労働市場のパラダイムシフトへの対応」をまとめた。デジタル化による?新たな産業革命〟の時代を迎え、「価値」を生み出さない労働はAI(人工知能)に代替される可能性が高いと警鐘を鳴らし、めざすべき将来の「労働」の形、労働市場と労働法制のあり方、その実現に向けて企業、個人、政府等が取り組むべき課題を整理した。企業には、これまで同友会が提言してきた「スマート・ワークの実現」の確実な実践を求めるとともに、イノベーションを起こす人財を輩出しやすい環境づくりと成長機会の拡大に向け「価値創出人財の育成・兼業禁止規定の緩和」の実現を掲げた。
行政資料
厚生労働省「平成28年度過労死等防止対策白書〈概要〉」
厚労省は、「平成28年版過労死等防止対策白書」を発表した。過労死等防止対策推進法に基づき、国会に報告を行う法定白書で、今回が初報告となる。過労死等の現状、平成27年度に行われた過労死等防止対策の取組などについて記載。メンタルヘルスケアに取り組む事業所は増加してはいるが、仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスを感じる労働者割合は5割を超える。過労死等の実態を解明するための調査研究では、労働時間以外に、 生活時間の状況等の労働・社会面からみた調査なども実施。睡眠時間が足りない理由として「残業時間が長いため」が最も多いが、「その他の家事労働に要する時間が長いため」「通期時間が長いため」も一定の割合を占めた。
調査資料
厚生労働省「平成27年労働争議統計調査」
平成27年1年間に発生した労働争議は425件(前年495件)で、6年連続で減少し、過去最少を記録。争議行為を伴う争議は86件(同80件)で、件数と総参加人員は増加したが、行為参加人員は減少。半日以上の同盟罷業(ストライキ)は39件(同27件)と増加したが、行為参加人員、労働損失日数ともに減少。争議の際の要求事項は、「賃金」関係が減少し、「経営・雇用・人事」が増加に。
厚生労働広報
厚生労働省「私的年金分野における個人情報保護に関するガイドライン」
「私的年金分野における個人情報保護に関するガイドライン(平成28年告示第290号)」が 平成28年7月20日付で公布された。確定拠出年金実施事業主は、ガイドラインに沿って個人情報の適正な取扱いの確保が求められる。同ガイドラインでは、これまでの厚労省の通知「企業年金等に関する個人情報の取扱いについて」(平成16年年発第10011002)の内容に加えて、「①適正取得の徹底(法的義務なし*)」「②安全管理措置の徹底(法的義務あり)」「③委託先の監督の徹底(法的義務なし*)」などが定められた。②では、内外からの不正行為による個人データの漏えい防止のため、内部監査実施体制の整備や技術的安全管理措置等を規定している。(*改正個人情報保護法の施行により義務化予定)
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