『賃金関係』の労働実務相談Q&A

2025.08.08 【労働基準法】

内訳を示す必要はあるか 固定残業代に深夜も含む

キーワード:
  • 固定残業代
  • 賃金関係
Q

 固定残業代制度の見直し中です。定額の手当について、時間外労働分と深夜労働分を含めた額として扱ってきましたが、見直しに伴い分けて記載すべきでしょうか。【兵庫・G社】

A

充当する順番など記載を 労基法上の額と比較可能

 労基法上、割増賃金は、労基則19条各号に基づき計算した1時間当たりの賃金額に、時間外労働や休日労働、深夜労働の時間数を乗じて計算しますが、固定残業代などとして、一定額の手当などを代わりに支払うことも適法とされています。基本給の中に含める組込み型と、一定額の手当を支払う手当型がありますが、以下、手当型を前提とします。

 固定残業代は、上記に加え、判例上、…

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2025.07.15 【労働基準法】

休業補償いらないか 一部労働で60%超えたら

キーワード:
  • 休業補償
  • 賃金関係
Q

 労働者が仕事のうえでケガをし、病院へ行くため終業時刻の1時間前に早退しました。休業補償については、その日の労働分の賃金で平均賃金の60%は超えているので、それでカバーできるという理解で良いでしょうか。【鳥取・R社】

A

平均賃金と差額を計算

 休業補償の支払いが必要なのは、労働者が業務上の負傷や疾病によって療養のため、労働することができないために賃金を受けない場合です(労基法76条)。その額は、1日当たり平均賃金の60%相当としています。就業途中でケガをしたなど所定労働時間の一部分のみ労働したときについては、平均賃金と、一部労働に対する賃金との差額の60%を休業補償として支払うことが求められ(労基則38条)、ご質問はこのケースに該当します。

 同じく働かせていないのに賃金の支払いが必要なものとして、…

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2025.07.10 【労働基準法】

減給制裁で制限は何か? 事由が2つある場合など

キーワード:
  • 減給制裁
  • 賃金関係
Q

 当社の従業員について、勤務態度が良くなく、一度始末書を提出させてもなかなか改まらないうえ、会社の所有物を紛失したこともあり、減給処分を検討しています。減給には制限があったと思いますが、2つ事由がある際の扱いなどどうだったでしょうか。【奈良・N社】

A

一賃金支払期の10%まで 複数回に分けることも可

 制裁(懲戒処分)として行う減給は、労基法91条により、1回の額が平均賃金の半分を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならないとしています。公務員のように減給○カ月などの処分は科せないということです。

 前者は、1つの制裁事案に対して、減給の総額が平均賃金の1日分の半額以内でなければならいことを意味します(昭23・9・20基収1789号)。1つの事案で何日にもわたって平均賃金の半分を減給できないということです。事案が複数ある場合は、それぞれにつき平均賃金の半分を減給することはできると解されています(労基法コンメンタール)。平均賃金については、法12条で定義しています。減給の制裁のほか、休業手当や休業補償などを算定するときの尺度として使われます。原則的な金額と最低保障額の計算方法が定められており、高いほうが平均賃金となります。

 後者は、…

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2025.06.27 【労働基準法】

退職金も7日以内に支払う? 労働者が賃金請求 先延ばしはできるか

キーワード:
  • 賃金関係
  • 退職金
Q

 会社の借上げ社宅から従業員が突然いなくなってしまいました。部屋には書置きが残されていて、働いた分の賃金を支払ってほしいと書いてありました。退職者の請求があれば早期の賃金支払いに応じる必要があることは理解していますが、一方で退職金については、このような場合、退職の経緯なども勘案して、減額して支給時期を先延ばししても問題はないでしょうか。【神奈川・E社】

A

規定の支払期日までで可

 労働者が退職や死亡した場合において、権利者から請求があれば、7日以内に賃金を支払い、その他労働者の権利に属する金品を返還する必要があります(労基法23条)。退職した労働者に対しては、使用者に賃金等を迅速に返還させないと、労働者の足止め策に利用されることなどから、賃金支払い等の清算のために必要な規定と解されています(労基法コンメンタール)。

 返還の請求の仕方について労基法はとくに規定していませんが、…

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2025.06.06 【労働基準法】

所定労働時間働き賃金満額か フレックス制で欠勤 コアタイムをどう扱う

キーワード:
  • フレックスタイム制
  • 賃金関係
Q

 フレックスタイム制で月の前半がオーバーワーク気味になった結果、月の所定労働時間の総枠に達する見込みの従業員がいます。本人から、総枠に達したらもう働かなくても良いでしょうかという申出がありました。所定労働時間の時間数を満たしている以上、コアタイムの欠勤控除もできないのでしょうか。【大阪・S社】

A

「出勤」自由とはいえず

 フレックス制の法定労働時間の総枠は、月の暦日数で決まります。月の前半で長時間働けば、1カ月で予定している所定労働時間や法定労働時間の総枠に早々に達してしまうことがあります。

 始業終業時刻の決定が労働者に委ねられている以上、業務命令により、フレキシブルタイム(労働者の選択により労働することができる時間帯)に…

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