『賃金関係』の労働実務相談Q&A

2025.06.06 【労働基準法】

所定労働時間働き賃金満額か フレックス制で欠勤 コアタイムをどう扱う

キーワード:
  • フレックスタイム制
  • 賃金関係
Q

 フレックスタイム制で月の前半がオーバーワーク気味になった結果、月の所定労働時間の総枠に達する見込みの従業員がいます。本人から、総枠に達したらもう働かなくても良いでしょうかという申出がありました。所定労働時間の時間数を満たしている以上、コアタイムの欠勤控除もできないのでしょうか。【大阪・S社】

A

「出勤」自由とはいえず

 フレックス制の法定労働時間の総枠は、月の暦日数で決まります。月の前半で長時間働けば、1カ月で予定している所定労働時間や法定労働時間の総枠に早々に達してしまうことがあります。

 始業終業時刻の決定が労働者に委ねられている以上、業務命令により、フレキシブルタイム(労働者の選択により労働することができる時間帯)に…

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2025.04.18 【労働基準法】

1カ月変形で副業して残業代は 割増賃金への影響 時間把握可能な前提

キーワード:
  • 副業・兼業
  • 賃金関係
Q

 グループ企業内で、副業・兼業の拡大を図ります。賃金の締切日等は同じで、複数会社での労働時間の把握も容易です。「原則的な通算労働時間管理の方法」を採用したいと考えていますが、一部の会社では1カ月単位変形労働時間制を導入しています。この場合、割増賃金の計算に、どのような影響が及ぶのでしょうか。【埼玉・R社】

A

通算して法定外が発生

 労働時間の通算方法は2とおりありますが、そのうち「原則的な管理の方法」では、2事業場で発生する実労働時間を把握し、時間外労働となる部分を確定させます。労働時間管理等の手続きは煩雑になりますが、「管理モデル」に比べ、割増賃金の支払額が抑えられる可能性があります。

 「副業・兼業ガイドライン(令4・7改定)」によると、まず、…

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2025.04.04 【労働基準法】

ケガした日の補償どうする 8割支給で問題あるか 労災保険給付考慮して

キーワード:
  • 休業補償
  • 賃金関係
Q

 従業員が業務中に軽いケガをしたので、病院経由で帰宅するよう指示しました。こうした場合、当日の賃金をカットしない扱いとなっています。しかし、新任の部長から「ケガの程度に関係なく、100%の賃金を補償するのはいかがなものか。たとえば、80%(労災の特別支給金も考慮した水準)という処理もあるのでは」との意見が出ました。一律8割とした場合、問題があるでしょうか。【新潟・T社】

A

残業多い場合は検証必要

 事故当日、帰宅させたということですが、ケガの程度によっては、治療後、業務に復帰できた可能性もあります。従業員への配慮として(会社の判断で)「労務を免除」したのなら、賃金はそのまま支払う(働いたとみなす)のが通常でしょう。

 実際に、労務不能だったとします。この場合、「賃金カットしない」という会社と「法の最低基準を支払う」という会社と、大きく2種類に分かれるでしょう。

 事故後、労災保険における待期期間については、…

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2025.03.28 【労働基準法】

平均賃金の計算期間にズレ? 残業代は翌月払い 過去3カ月をどう計算

キーワード:
  • 割増賃金
  • 解雇予告
  • 賃金関係
Q

 勤務不良で、注意・指導を繰り返しても改善しない従業員を解雇します。解雇予告手当を払うために平均賃金を計算しますが、当社の賃金制度では、割増賃金部分は1カ月遅れで清算しています。単純に過去3カ月の賃金支払額を合計すると、基準内賃金と割増賃金部分では、賃金計算の対象期間に1カ月のズレが生じます。対象部分をそろえる形で、修正を実施すべきでしょうか。【香川・W社】

A

直近締切日から一律遡る

 平均賃金は、原則として「算定事由の発生した日以前3カ月間に支払われた賃金総額を、その期間の総日数で除して」計算します(労基法12条)。ただし、賃金締切日があるときは、その直前の締切日から3カ月が算定対象期間となります。

 たとえば、3月の賃金締切日の後に解雇を予告したとします。貴社の賃金制度の場合、基準内賃金部分については、1~3月の3カ月を集計します。しかし、…

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2025.02.26 【労働基準法】

就業規則へ規定が必要? 欠勤控除をするためには

キーワード:
  • 就業規則
  • 賃金関係
Q

 欠勤控除について、日給月給制と労働契約の締結時に示すだけでなく、就業規則等に規定を設けることも必要なのでしょうか。設けないデメリットには何がありますか。【熊本・K社】

A

予定していないと推認も 計算方法含め定めておく

 労働契約上の賃金請求権の発生については、労契法に規定がなく、民法における雇用の規定や契約の一般規定に委ねられています(菅野和夫・山川隆一「労働法」)。民法624条では、約した労働を終わった後でなければ報酬を請求できないとしています。労務の提供が労働者の意思でなされない場合、反対給付の賃金も発生しないこととなり、これはノーワーク・ノーペイ原則と呼ばれています。なお、これは契約解釈上の原則にすぎず、欠勤で減額しないなど異なる定めをした際は、そちらに従います。

 確かに、日給月給制など企業が採用する賃金形態から、賃金控除に関する規定がなくても控除可能な場合があり得るとされています(杜若経営法律事務所「就業規則の法律相談」)。しかし…

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