【人工知能が拓く未来~人事労務分野への影響~】第2回 センサーによるデータ収集 職場環境改善へ貢献 ストレスチェックに応用も/青木 俊介

2016.04.11 【労働新聞】

会話の頻度など解析

ユカイ工学㈱ 代表
青木 俊介 氏

 前回は、現在の人工知能で何が実現されているか、そして人工知能にはビッグデータが不可欠であることを述べた。自動翻訳や画像認識の性能向上にはインターネット上のビッグデータが活用されていたが、センサーを使って私たちの労働環境からビッグデータを作り出すことも可能である。従業員が着用するタイプのセンサーを使用して、着用者が誰と交流しているか、コミュニケーションの頻度、位置情報を記録する実験から、従業員の生産性やオフィスの空間設計などが評価できることが分かってきている。日本では、昨年12月よりストレスチェック制度が始まっており、メンタルヘルスのモニタリングにもセンサーが活用されていくだろう。

 以下では、センサーを使った労働環境計測の試みについて紹介していく。

 米Humanyze社では、Sociometric Badgeという着用タイプのセンサーを開発、データを収集して従業員同士で会話の頻度の多い組合わせ、会話の回数などを可視化・分析するサービスを行っている。銀行のコールセンターでの実験の事例では、4週間にわたって従業員がセンサーを着用、データ分析したところ、従業員同士の会話が活発なチームが高いパフォーマンスを上げていることが判明した。この結果に基づき、バラバラだった社員の休憩時間を統一、会話の機会が増えることで、生産性が23%増加。転職率は40%から12%まで低減するなどの効果を上げたという。同社ではセンサーデータの分析結果を基に、オフィスをコミュニケーション・ツールとして活用するための空間設計も行う。コーヒースタンドの数を減らす、休憩スペースを拡張するなどの施策で、普段出会う機会の少ない従業員同士が会話をする機会を作り、実際に生産性の向上につながっているという。

掲載 : 労働新聞 平成28年4月11日第3060号13面

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