【人工知能が拓く未来~人事労務分野への影響~】第6回 「お客様の声」の分析 欲しい情報を抽出 エキスパートと同じ視点で/武田 秀樹

2016.05.16 【労働新聞】

キーワードでは不十分

㈱UBIC執行役員CTO 行動情報科学研究所所長
武田 秀樹 氏

 前回は、人工知能エンジン「KIBIT」が、国際訴訟・不正調査の分野において、テキスト解析を駆使して重要な文書を発見する実例や、人工知能を使う際に人間が行うべき「判断」と「行動」について解説した。今回は、より身近な、企業で行われている例として、「お客様の声」を分析したり、営業活動を支援したりする目的で人工知能を活用する例を紹介する。

 コールセンターやECサイトに寄せられる「お客様の声」。ずいぶん昔から「宝の山」として、多くの企業が収集・分析に取り組んでいるが、企業はそれを十分に生かせているだろうか。実際には多くの難しさがあることをみてみよう。たとえば、ワインショップの全国チェーン店に寄せられた下記のコメントはどのように扱えば良いだろうか。

 「以前リクエストしたワインの3本セットがなかなかのセレクトになっていた。しかし相変わらずレジ待ちの行列が絶望的で、パーティーに大遅刻するハメに…まだ合格点はあげられない ★★☆☆☆(2点)」

 点数による判断やクレーム処理の目的でこのコメントを仕分けした場合、オペレーションの不備を低評価とする後半部分のみが記録され、品揃えや銘柄選択を高評価とする前半部分は記録されない。しかし、ワインショップにとっては、前半部分の情報も本来重要なはずである。

 コメントが1日数件~数十件しかない場合、顧客担当スタッフが各コメントを必要とする担当部署に振り分けることができるが、全国の店舗やECサイトから何百、何千のコメントが寄せられた場合、コメントの価値を一律の基準・視点で評価し、対応の要否を見極めることは困難となる。その結果、網羅的にデータ活用ができないまま、せっかく集めた「お客様の声」はデータベースの「肥やし」になってしまう。

掲載 : 労働新聞 平成28年5月16日第3064号13面

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