【人工知能が拓く未来~人事労務分野への影響~】第2回 センサーによるデータ収集 職場環境改善へ貢献 ストレスチェックに応用も/青木 俊介

2016.04.11 【労働新聞】
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 ここで重要な点は、身体運動が活発だった人の受注率が向上するのではなく、集団全体の身体運動が活発であれば、集団全体で受注率が上がるという点である。ハピネスは集団現象であり、従業員は互いに影響をし合っている。ハピネスが下がるとメンタルヘルスの不調が問題となるが、これも集団現象であり、予防のための組織改革が欠かせないことが分かる。

 矢野氏のグループでは、同じセンサーを使用してホームセンターの従業員と顧客のデータを計測するという実験も行っている。店員と顧客がどこに、どれだけの時間滞在し、誰と会話をしたかを計測した。このビッグデータと人工知能を組み合わせ、店舗の売上げを向上させることにも成功している。使用した人工知能は『H』と名付けられた日立社内で開発されたもので、顧客単価を最大化するという目標を与えられた。この結果、店内のある特定の場所に従業員がいると顧客単価が上がるということを発見し、実際にこの施策を実行したところ顧客単価は15%もの向上をみせた。ちなみに、同時にベテランの従業員による施策を実行し比較した場合は、全く効果がなかったそうである。ビッグデータと人工知能が、人間の感覚よりも圧倒的な成果を出したのである。

 実際に、センサーデータを活用するサービスが国内で始まりつつある。デロイトトーマツコンサルティングの人事・組織コンサルティングサービスでは「デジタル人事」を提唱し、Deloitte Digitalと協働しデジタルテクノロジーの組織・人事への応用を積極的に行っている。現在開発している新サービス「People Analytics」は、ビッグデータを基に組織・個人の行動特性を定量的に分析、活用する新しいサービスとなる予定である。そのために、独自のセンサーデバイス開発(写真)と、識別・分析ロジック開発を行っており、センサーデバイス開発にはユカイ工学も協力している。機械学習を活用した音声認識と、Beacon、脈波データ解析により、組織のコミュニケーションの質・量を測定し、組織風土の客観的な分析や課題解決案の策定を支援する。

筆者:ユカイ工学㈱ 代表 青木 俊介

平成28年4月11日第3060号13面 掲載

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