荷待ち削減 関東運輸局と合同要請 有明埠頭の荷主へ 東京労働局
上限規制違反既に発覚も

運転者の労働環境を解説
東京労働局(増田嗣郎局長)と関東運輸局(藤田礼子局長)は7月2日、トラック運転者の長時間労働抑制に向け、荷主企業への合同要請を実施した。荷主企業が集積する有明埠頭を訪れ、長時間の荷待ち削減に関する配慮を求めている。今年4月1日~6月20日に、同労働局が実施したトラック事業者への監督指導39件のうち、1事業場で時間外労働の上限規制違反を確認。「トラック運転者の労働環境改善には、荷主の協力が不可欠」(同労働局監督課)として、今後も荷主企業へ積極的な働き掛けを行っていく。
同労働局による訪問要請は初めての取組み。東京都内には荷主企業が多いことから、同労働局が直接荷主への要請を行うことで、他の荷主への波及効果も狙う。
7月2日の合同要請では労働局から荷主特別対策チームの担当官が、運輸局からは長時間の荷待ち削減などの是正指導を行う「トラックGメン」が複数の荷主企業を訪問。1社目として、製紙工場で生産された原紙の中継拠点となっている東洋埠頭㈱の第一倉庫(江東区)を訪れた(写真)。同労働局の担当官は「トラック事業者単体では(荷待ち時間を)短くしたくてもできないというところもある。荷主企業の方々にもご協力をお願いしたい」と呼び掛けた。
要請を受けた同社は、荷待ち時間削減のために現在行っている取組みとして、入庫時のトラックバース予約システムを紹介。今後は入庫後に引取りに訪れるトラックに対しても、荷待ち削減の取組みを広める方針だ。
同労働局管内では今年4月1日~6月20日までに、39事業場のトラック事業者に監督指導を実施。13事業場で労働時間関連の違反を確認した。1事業場では、年間の時間外労働の上限規制に関する違反もみられている。「現時点では上限規制違反は1事業場に収まっているが、まだ安心はできない。荷主へのアプローチが必要」(同労働局監督課)としている。
荷主への積極的な働き掛けは今後も行っていく方針だ。同労働局監督課は、「この趣旨の取組みは継続していきたい。どのような形で行っていくかは、運輸局とも相談しながら検討していく」と話している。