作業主任者を下請へ一任 足場解体作業で労災 川崎北労基署

2022.12.08 【労働新聞 ニュース】
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自社から選任せず送検

 神奈川・川崎北労働基準監督署(渋谷勇一署長)は、足場の組立て等作業主任者を選任していなかったとして、土木工事業の平尾化建㈱(大阪府豊中市)と同社座間営業所長を労働安全衛生法第14条(作業主任者)違反の疑いで、横浜地検川崎支部に書類送検した。今年3月、同社が2次下請として施工していた現場で、4次下請の個人事業主が足場の解体作業中に墜落し、死亡する労働災害が発生。同社は自社から作業主任者を選任せず、被災者に作業主任者を一任していた。

 労働災害は今年3月25日、同社が2次下請として入場していた神奈川県川崎市麻生区内所在のマンションの修繕工事現場で発生。地上から約27メートルの高さで、くさび緊結式足場の解体作業をしていた4次下請の個人事業主が墜落し、死亡している。同労基署が捜査したところ、法令で定める作業主任者を選任していなかったことが発覚した。

 同労基署によると、現場は2次下請以下の業者で作業していた。請負契約の場合、本来は請負事業者ごとに作業主任者を選任する必要がある。しかし、同社は、複数の自社の労働者に作業させていたにもかかわらず、自社の労働者から作業主任者を選任せず、4次下請の個人事業主を現場全体の作業主任者としていた。元請事業者には、「3次下請以下の請負人はおらず、現場で作業している者はすべて自社の労働者」と報告していた。

 同法では、作業主任者は法定の技能講習を修了した者から選任しなければならないとしている。同労基署によると、現場で作業していた者のうち、修了者は個人事業主だけだったため、作業主任者としていたという。

 同労基署は今回の事案を受け、作業主任者の選任についてリーフレットを作成。請負人の個人事業主が経験豊富でも作業主任者に選任できないため、自社の労働者から選任するよう呼び掛けている。担当者は「今回の労災も、作業主任者が適切に選任され、労働者の指揮や設備管理が徹底されていれば防げた可能性がある」と話している。

【令和4年11月11日送検】

令和4年12月12日第3380号4面 掲載

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