【人事学望見】第1290回 懲戒解雇から普通解雇へ転換 制度上区別されており否定的か
2021.05.27
【労働新聞】
懲戒解雇の意思表示が効力を生じない場合に普通解雇の意思表示として効力を生じるとした判例もあるが、近時の判例では、懲戒解雇は企業秩序違反に対する制裁罰として制度上区別されたもので通常解雇に転じることは認められないという見解が多い(岡芹健夫弁護士)。
制裁事由に該当しても×
懲戒解雇が斥けられ普通解雇が認められたケースに日本電産トーソク事件(東京地判令2・2・19)がある。ただし、これは前者がだめなら後者でというのとは意味合いが異なる。
事件のあらまし
Y社との雇用契約を締結したAが、懲戒解雇され、その後予備的に普通解雇された。Aは各解雇が懲戒権あるいは解雇権の濫用に当たり、無効であるとして、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求め、懲戒解雇後の賃金として23万余円+遅延損害金の支払い、および両解雇が不法行為に当たるとして1000万円+遅延損害金を求めて提訴した。
判決の要旨
Aは、所属室内のレイアウト変更において、自席がグループリーダーの横に配置されることに強く反発してこれを拒絶したにとどまらず、自己の退社後に席を移動されたことを知るやG部長に対し、…
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令和3年6月7日第3307号12面 掲載