【人事学望見】第1233回 早期退職優遇制度の裏側 申込みに対し使用者承認が要件
2020.03.12
【労働新聞】
働き方改革の一環として「70歳までの就業機会確保」が俎上に上がってきてから、早期退職優遇制度の募集がめだってきた。一時と異なるのは、高収益企業も積極的に対応し「黒字リストラ」という異名も付いた。スリムで活性化する組織に衣替えしようとする意図のようだ。
事業激変し割増金そっぽ
裁判例には、業績不振からというかつての事例がほとんど。応募の条件も当然ながら厳しくなる。アラビア石油事件(東京地判平13・11・9)もその1つだ。
事件のあらまし
石油開発等を主事業とするY社は、満50歳の誕生日から満60歳の誕生日までに本人自らが退職し、かつ勤続満10年以上という要件を満たした者を対象とする「早期退職奨励制度」を設けた。Aは、退職時の年齢がちょうど50歳3カ月に当たる6カ月後を退職予定日とする申請書を提出した。
ところが、同日サウジアラビアとの間の石油利権協定が失効し、経営困難な状況に陥ることが予想されたため、Y社は、翌日付で制度を凍結、1週間後の廃止が決定された。代わりに希望退職制度が新たに導入されたため、Aはこれに基づいて合意退職したものの、早期退職奨励制度に基づく早期退職奨励金請求権は、すでに申請により発生していたとしてその支払いを請求した。…
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令和2年3月16日第3249号12面 掲載