【人事学望見】第1245回 非違行為に懲戒解雇とは 最高罰科されても抗弁できない
2020.06.11
【労働新聞】
無断で遅刻や欠勤することは、明らかな職務怠慢であり、労働契約に基づく債務の不履行である。懲戒処分に付してもその事実が立証されていれば相当性は確保されるのだが、裁判になると、懲戒処分の前に当該労働者に対して使用者として適正な指導をなしたかが問われる。
他に例ない 驚異の遅刻数
遅刻・早退の常習者であることについて、「懲戒解雇」が争われたとなると滅多にない。三協工業事件(東京地判昭43・8・10)はそれだった。
事件のあらまし
証拠として立証されたAの非違行為はすさまじい。
昭和37年3月17日入社以来の遅刻回数・遅刻時間は次のとおりである。
同37年3月17日から同年11月15日にかけて48回、計701分。
同年11月16日から翌38年5月31日にかけて28回、計835分。
同年6月1日から同年11月30日にかけて16回、計933分。
同年12月1日から翌39年3月31日にかけて20回、計1328分。
同年4月1日から同年9月30日にかけて18回、977分。
同年10月1日から翌40年3月31日にかけて16回、1008分。
同年4月1日から同年9月30日にかけて31回、計2981分。
同年10月1日から翌41年1月10日にかけて22回、計903分。…
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令和2年6月15日第3261号12面 掲載