【企業経営と固定残業代制度】第1回 有効性の考え方と運用 有効要件は2種類のみ 「合意」と「明確区分性」/横山 直樹

2020.01.09 【労働新聞】
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 平成24年のテックジャパン事件最高裁判決において、精算合意が必要など同最高裁判決よりも厳格な要件を課すべきであると説いた櫻井補足意見以降、固定残業代の有効性について東京地裁を中心とした多数の下級審判決は最高裁判決からは直接には読み取れない要件を課す、明確区分性を厳格に解釈・適用するなどして多数の事案において無効の判断を繰り返していた。

 東京地裁労働部などに所属していた裁判官らは「類型別・労働関係訴訟の実務」(青林書院)、「労働事件事実認定重要判決50選」(立花書房)などを相次いで出版した。執筆者の1人である裁判官によれば、同執筆のために東京地裁労働部で固定残業代などの重要論点について複数回勉強会を開催したとのことであり、同勉強会が東京地裁の上記傾向に一定の影響を及ぼした可能性を否定できない。そして、この傾向は東京地裁の判決が判例雑誌に掲載されることなどから地方の裁判所に広がった。

29年最高裁判決から判断が一変

 しかし、上記下級審の傾向は、平成29年2月28日の国際自動車事件最高裁判決によって一変した。同判決は、労基法37条について従前の最高裁判決が示していない点に範囲を広げず、あくまでも労基法37条の条文が定める内容を中心に解釈し、かつ最高裁が従前から指摘してきた要件(固定残業代の合意、明確区分性)により有効性を判断した。この判決は櫻井補足意見により固定残業代の有効性を原則として認めないという価値判断から最高裁が明示していない要件によって無効としてきた裁判例を揺り戻すことを、下級審に対してメッセージを送ったものである。実際、同最高裁以降有効性の要件を緩和するなどして有効性を肯定するものが続く。

 固定残業代制の有効性を検討する際には従来の最高裁判例の示した要件、最高裁が未だ判断を示していない事項を明確に区分して考え、後者については、今後の裁判例の動向をみながら実務対応をする必要がある。

過労死基準超す時間で判決二分

 詳細は次号以下になるが、当職としては固定残業代の有効要件などについては以下のように考えている(別掲)。…

筆者:石嵜・山中総合法律事務所 弁護士 横山 直樹

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令和2年1月13日第3240号11面 掲載

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