【企業経営と固定残業代制度】第4回 劣悪な労働条件への誘導 基本給とバランス考慮 不自然なら有効性否定も/横山 直樹

2020.01.30 【労働新聞】
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 固定残業代の制度がいわゆるブラック企業の労務管理の代表的な手法の1つであると指摘する文献があるが、実際にも、固定残業代の内容などに照らして劣悪な労働条件への誘導の手法として用いるという労働市場法との関係から問題を孕む場合には無効と評価される。また、求人詐欺のような場合は固定残業代の成立の問題として扱い、それに関する説明や書面がない事実を重視し、成立を認めない例がある。

最賃水準下回るかの検証が必要

 固定残業代を引いた基本給を所定労働時間で割って1時間当たりの単価を計算し、時間単価が最低賃金を下回る場合は公序良俗(民法90条)に違反し無効であり、最賃をベースにした制度設計が透けてみえるなど最賃をギリギリ上回る水準の場合には無効と評価され得る。

 後者の場合には、規程上は通常の労働時間の部分と時間外労働部分を明確に区分できるケースでも、このような賃金制度によって実質的には固定残業代部分に通常の労働時間の対価部分が含まれていると評価され、その結果明確区分性がないと評価する裁判例がある。しかし、実質的に最賃の水準に設定し、かつ固定残業代を利用して高額の収入を保証するような外見を有していることをもって労働市場法の観点からの問題ととらえ、端的に民法90条を通じて無効とするのが理論的である。

 たとえば、…

筆者:石嵜・山中総合法律事務所 弁護士 横山 直樹

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令和2年2月3日第3243号11面 掲載

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