【企業経営と固定残業代制度】第5回 金額・時間の特定~テックジャパン事件~ 手当型は混在の解消を 名称変更などで対応/横山 直樹

2020.02.06 【労働新聞】
  • list
  • クリップしました

    クリップを外しました

    これ以上クリップできません

    クリップ数が上限数の100に達しているため、クリップできませんでした。クリップ数を減らしてから再度クリップ願います。

    マイクリップ一覧へ

    申し訳ございません

    クリップの操作を受け付けることができませんでした。しばらく時間をおいてから再度お試し願います。

 明確区分性とは、通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを判別することである。労基法37条は同条に従って計算した金額の支払いを義務付ける条項であるところ、判別できない場合は労基法37条の賃金を支払ったか検証ができなくなるから無効となる。

 明確区分性が上記のように、労基法37条の割増賃金部分の特定可能性の議論であるところ、理論的には、時間か金額のいずれかが特定できれば、特定(計算)は可能である。

組み入れ型なら金額を明示して

 この点、固定残業代の有効要件の先例である高知県観光事件(最二小判平6.6.13労判653号12頁)は基本給組み入れ型だったが、明確区分性に関し時間・金額のいずれについて必要かの判断を示していなかった。

 しかるところ、テックジャパン事件(最一小判平24.3.8労判1060号5頁)は時間数に応じて基本給を暫定払いする約定が結ばれ時間数明示タイプとも評価できる事案であった。最高裁の多数意見は特定の方法・程度に触れなかったが、櫻井龍子裁判官は、支給時に時間数・金額の両方が必要であるなど、明確区分性を厳格に解すべきとの補足意見を示した。

 最高裁は補足意見を出して当該訴訟の周辺の問題点などを提示した後、…

筆者:石嵜・山中総合法律事務所 弁護士 横山 直樹

この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら

労働新聞電子版へログイン

労働新聞電子版は労働新聞購読者専用のサービスです。

詳しくは労働新聞・安全スタッフ電子版のご案内をご覧ください。

この連載を見る:
令和2年2月10日第3244号11面 掲載

あわせて読みたい

ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。