【多様な働き方を支える 限定契約の実務】第5回 勤務地限定が争点の裁判例 明示的な合意が必要 長期勤続は不利益で考慮/安倍 嘉一

2024.05.02 【労働新聞】
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事業拡大で状況変化

 勤務地を変更する転勤は、場合によっては転居を伴うこともあり、労働者の生活に与える影響は大きい。しかし、これまで企業においては、労働者が全国どこへでも赴任することは当たり前、家族がいるなら単身赴任してでも、という考え方が一般的であった。

 裁判例においても、単に転居を伴ったり単身赴任するというだけでは、配転命令権の濫用となるような大きな不利益とは評価されていなかったように見受けられる。ここでは、勤務地限定契約が認められず、配転命令が有効とされた新日本製鉄(総合技術センター)事件(福岡高判平13・8・21)を取り上げる。

(1)事案の概要

 会社(被控訴人)は、旧八幡製鐵株式會社(以下「旧八幡製鐵」という)と旧富士製鐵株式會社(以下「旧富士製鐵」という)との合併により設立されたが、その後事業を拡大し、平成3年6月27日当時、本社を東京都千代田区に置き、国内各支店および海外各事務所を設けていた。労働者(控訴人)らは、旧八幡製鐵の臨時作業員として雇用され、その後も八幡製鉄所敷地内で勤務を継続していた。

 旧八幡製鐵八幡製鉄所の就業規則には、「社員に対しては、業務上の都合によって転勤させまたは職場もしくは職種を変更することがある」との規定があり、…

筆者:森・濱田松本法律事務所 弁護士 安倍 嘉一

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令和6年5月13日第3448号6面 掲載

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