【追跡レポ】中央電機計器製作所/外国人活用策 会長夫妻が「日本の父母」

2016.06.01 【労働新聞】

採用手順差を付けず 両親来日時は会社へ招く

 ㈱中央電機計器製作所(大阪府大阪市都島区、畑野淳一代表取締役、52人)は、外国人や女性といった多様な人材を採用・育成して企業の成長につなげるダイバーシティ経営を進めている。外国人社員は、日本人と全く同じ選考手順で採用している。「外国人だからと変に気遣わない」ことをモットーとしている一方、文化や風習で戸惑うことのないよう、会長夫妻が「親代わり」となって手厚くフォローする。両親が来日した際は会社へ招き、共に食事を摂りながら歓談することで、信頼関係を深めて離職防止の一手としている。

“言い回し”の指導細やかに

 1930年に創業した同社は、寸法自動測定装置や計測システムなどの開発・製造事業を展開している。社員52人のうち、3割(16人)が女性で、中国から帰化した女性1人を含む6人が外国人だ。

 初めて外国人の社員が誕生したのは00年のこと。アメリカ人を採用した。ここ何年かは毎年のように外国人の社員を定期採用し続けており、そのほとんどが中国人だ。

 採用する人材は、現地で日本語を学んでいる学生ではなく、日本の大学に就学する留学生のみ。選考の時期や手順は日本人と全く同じで、区分も分けない。選考基準も日本人同様に文系・理系を問わず、学歴ではなく「やる気の有無」で合否の判断を下す。唯一、外国人に課す条件は、日本語能力試験でN1を持っていることだ。

 入社後は、畑野吉雄会長夫妻が「日本の父母」役となっている。日本語能力試験N1を持っていても、仕事のなかで出てくる言い回しや言葉遣いは難しい面があるため、総務部長だった会長夫人が厳しく指導していた。今は、先輩となる外国人社員が指導役を担い、総務部長から受けてきた教えを伝える。

 外国人を採用してしばらくしたころ、外国人同士が給与明細を見せ合い、「なぜ、手当などに差が付いているのか」と聞きに来たことがあった。差が付いたことの理由を説明しつつ、「日本では給与明細を見せ合うような文化はない」と風習を教えたそうだ。

 外国人社員の家族が来日した際は、必ず会社に招き、食事を共にし、親睦を深める。職場をみせたり、様ざまな会話を重ねたあとで、「私たちが日本の父母となって、厳しく躾をしていますがいいですか? と了解を取るようにしている」と畑野会長。会長が海外出張の際、両親に会いに行くこともある。「文化や風習の違いで、親が不安に思っているケースもあるため、その場合は払拭していくよう努めている」という。

 社内では、若手社員を会長宅で開くワイン会に招いたり、母国の言語や文化を日本人社員にレクチャーする会(写真)を設けている。

中国人社員(中央)による語学講座の1コマ

掲載 : 労働新聞 平成28年5月30日第3066号15面

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