【人事学望見】第1234回 見習期間中解雇意外と面倒 非常識極まってもあきらめるな
2020.03.19
【労働新聞】
新規採用に当たり、その者の資質、性格、能力など社員としての適格性を判定することが困難な場合があるので見習期間を設定し、その間に業務を見習わせ、その期間経過時点で本採用の可否を決定するという方法が採られている。この試用契約中の解雇についての判例をみる。
社長の喫煙で身体が変調と
試用期間中に受動喫煙で体調を崩した保険営業マンが、社長に分煙を求めたところ社長が解雇手段を講じたという珍しい事案がライトスタッフ事件(東京地判平24・8・23)である。
事件のあらまし
被告Y社は、生命保険の募集業務を業としている。Aは、平成21年11月9日、保険外交員として勤務すべく試用期間(3カ月間)付きでY社に入社した。
試用期間中である平成21年12月14日ころから、AはY社のB社長に対し、体調の異変を訴え、その原因がB社長の受動喫煙のせいであると主張し、分煙措置を講ずることを求めた。まだ試用期間中というひよっ子に大口を叩かれた感のあるB社長が収まるわけがない。
同月25日、B社長はそれほどタバコが嫌いであれば、退職するか、解雇されるか、あるいは1カ月休職して体調が回復するか様子をみるとともに体調異変の原因がB社長の喫煙によるものか専門医の診察を受け因果関係をはっきりさせるか、という3つの選択肢を提示した。
この時点でAは、退職するつもりがなかったため、1カ月の休職を選択した。その結果、…
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令和2年3月23日第3250号12面 掲載