【努力義務化は目前!? 70歳までの就業機会確保】第2回 定年廃止 「引退」は自分で決める ベテラン層採用に好影響/内田 賢

2019.10.10 【労働新聞】
  • list
  • クリップしました

    クリップを外しました

    これ以上クリップできません

    クリップ数が上限数の100に達しているため、クリップできませんでした。クリップ数を減らしてから再度クリップ願います。

    マイクリップ一覧へ

    申し訳ございません

    クリップの操作を受け付けることができませんでした。しばらく時間をおいてから再度お試し願います。

年功からの脱却必要

 前回紹介した「骨太方針2019」で掲げた「70歳までの就業機会確保」のための7つの選択肢のうち、真っ先に示されているのが「定年廃止」である。働く者にとっては理想ともいえ、政府も実現を後押ししたいようだ。しかしながら企業にとっては非常に高いハードルである。

 「定年廃止」とは究極の「終身雇用」である。よほどの事情(健康問題や懲戒処分)がない限り、本人が辞めるというまで会社は辞めさせることはできない。60歳や65歳を超えても仕事に対する意欲や職務遂行能力がそれまでと全く変わらぬ者もいる一方で、加齢とともにそれらが徐々にまたは大きく低下して会社の期待から外れる者も現れる。貢献度の低い者をいつまでも会社が抱え込むことはできず、自発的な退職を期待するなら割増金を加えた勧奨退職が必要となり、企業の負担は重い。

 定年廃止が働く者にとって望ましいのかも一考の余地がある。退職はいつでも「自己都合退職」となり、定年退職であれば会社都合で満額支払われる退職金の額が大きく下がる。その企業に長年働いた者にとっては不利益である。1980年代、55歳から60歳への定年延長が行われていた当時は、従業員の側から定年延長に反対する意見もあった。その理由は「まだまだ働かなくてはならないのか」、「55歳でもらえると思っていた退職金が5年間お預けになってしまうのか」というものであった。

 様ざまな課題のある「定年廃止」であるが、そもそも定年のない会社など存在するのかといぶかる読者もいよう。実際には日本に「定年なし」の会社は4000社以上ある。…

筆者:東京学芸大学 教授 内田 賢

この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら

労働新聞電子版へログイン

労働新聞電子版は労働新聞購読者専用のサービスです。

詳しくは労働新聞・安全スタッフ電子版のご案内をご覧ください。

令和元年10月14日第3228号11面 掲載

あわせて読みたい

ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。