【多角的に考える両立支援の実践――改正育介法対応】第7回 転居転勤 回数や範囲を示す 勤務地無限定の場合でも/大浦 綾子

2021.08.19 【労働新聞】
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育児介護で困難感じる

 「結婚して、家を買ったら、たちまち転勤させられる」という都市伝説を聞いたことがあるだろうか。企業がそのタイミングを狙って転勤を命じているとは思わないが、労働者側からみれば、転勤命令により、不本意な転居や単身赴任をせざるを得ず、私生活上の困難に直面するということは、多く起こっている。JILPTの「企業の転勤の実態に関する調査」(2017年10月)によれば、正社員が、転勤があることにより困難に感じることとして、「そう思う」と「ややそう思う」と回答した割合は、「子供を持ちづらい」32.4%、「育児がしづらい」53.2%、「進学期の子供の教育が難しい」65.8%、「介護がしづらい」75.1%となっている。

 社員が転勤命令に従ってきた背景には、配転命令権に関するリーディングケースである東亜ペイント事件判決(最二小昭和61年7月14日判決)がある。同判決では、就業規則に転勤を命ずることができる旨の定めがあり、実際に転勤が頻繁に行われ、さらに、入社時に勤務地限定の合意がなかったという事情のもとでは、使用者は、個別的同意なしに労働者の勤務場所を決定できるのが原則論であると判示されている。例外的に配転命令が権利濫用となる場合の1つとして「労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものであるとき」が示されているが、単に育児・介護中に単身赴任を迫られるという事情のみで、配転命令が権利濫用とされた裁判例は見当たらない。…

筆者:野口&パートナーズ法律事務所 弁護士 大浦 綾子

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令和3年8月23日第3317号6面 掲載

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