【多角的に考える両立支援の実践――改正育介法対応】第1回 総論~常識を疑う~ 批判的視点で検討を 最低限の法対応では不足/大浦 綾子
2021.06.24
【労働新聞】
多様性を組織内に包摂
育児・介護と仕事の両立支援の分野において、多くの企業の優先課題は、育児介護休業法の改正に対応することや、次世代育成支援対策推進法における「くるみん」の認定基準を満たすことであろう。
しかし、これら法令により要請・推奨されている課題に淡々と取り組んだからといって、実際の職場で効果が得られるとは限らない。世間では、「くるみん」の認定を受けた企業が、労基法違反(違法な時間外労働)で送検される事例も発生している。このような事例では、「目的」が置き去りにされていたのではないか、と筆者は推測する。確たる目的を意識せず、「法律で決まっているから」、「他の企業もやっているから」という動機で、汎用的な枠組みを採り入れたり、数値目標を掲げたりしても、十分な成果は得られまい。
では、育児・介護と仕事の両立支援策により達成すべき「目的」とは何だろうか。…
筆者:野口&パートナーズ法律事務所 弁護士 大浦 綾子
本連載では、弁護士6人が、「育児・介護の問題は男性には無関係」、「育児・介護中は勤続しても戦力外」、「周囲は制度利用者をサポートするのが当たり前」といった「世間の常識」にクリティカルシンキングで挑み、柔軟かつ効果的な取組みのヒントを示していく。
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令和3年7月5日第3311号6面 掲載