【多角的に考える両立支援の実践――改正育介法対応】第16回 周囲のサポート 常態的負担増を回避 不満溜まればマタハラへ/大浦 綾子

2021.10.21 【労働新聞】
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中小向けに助成金用意

 妊娠出産・育児介護のための法律上の制度を利用できるのは当然であり、これらに関する妨害は「いわゆるマタハラ」として取り締まられている。しかし、妊娠女性や制度利用者側がこれを「当然の権利だ」と振りかざし、責任感や周囲への配慮に欠ける対応に終始すれば、周囲の労働者の負担や不満感は増大する。このような傍若無人な行動が「妊婦様」「逆マタハラ」と揶揄されることもある。妊婦様と周囲の社員とでいがみ合う対立構図は避けられないのだろうか。

 実は、妊娠出産などに関するハラスメント防止を企業に義務付けた「事業主が職場における妊娠、出産等に関する言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(マタハラ指針)や、「子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置等に関する指針」には、「周囲の労働者」への配慮が明記されている。以下では、マタハラ指針にのみ言及するが、育児・介護についても同旨が当てはまる。

 同指針によれば、企業はマタハラの「原因や背景となる要因」を解消するため、「業務体制の整備」をする雇用管理上の義務を負う。指針がその実施例として挙げているものは2つある。

① 妊娠等した労働者の周囲の労働者への業務の偏りを軽減するよう、適切に業務分担の見直しを行うこと
② 業務の点検を行い、業務の効率化等を行うこと

 これを受けた施行通達は、周囲の労働者の負担を軽減するため、「代替要員の確保」も検討すべきと示唆する。一部中小企業を対象に、代替要員を確保した場合に申請できる両立支援等助成金も制度化されている(本連載第3回を参照)。

無駄削減や分担変更も

 なぜ、これらの措置が、ハラスメントの原因などを解消することにつながるのだろうか。…

筆者:野口&パートナーズ法律事務所 弁護士 大浦 綾子

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令和3年10月25日第3326号6面 掲載

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