【追跡レポ】豊橋鉄道「女性活用対策」 運転士にも積極的に登用

2016.02.10 【労働新聞】

専用の宿泊室を用意 グループ企業全体で支援

結婚後も安心して仕事を続けられる

 豊橋鉄道㈱(愛知県豊橋市、伊藤正雄代表取締役社長、198人)は、運転士を中心に現業職への女性登用を積極的に推進している。運転士には、女性専用の更衣室を設けたり、宿泊を含んだ勤務に対応できるよう仮泊室の整備を実施した。総合職における女性活用も進めており、将来の幹部候補として教育している。産前産後および育児中の女性の労働環境整備は、グループ全体で行うことで、柔軟な受入れ態勢を構築した。運転士の過労は事故につながりかねないことから、年次有給休暇の取得促進にも励んでいる。

約10年前から情勢踏まえて

 同社は、豊橋市内などを走る市内線・渥美線の2路線の鉄軌道事業のほかに、グループ全体でバス、ホテル、不動産などの事業を展開している。

 現業職のなかに含まれる運転士への女性の積極的な登用を始めたのは、約10年前から。社会情勢を踏まえたもので、従来、男性中心だった現業職に対し、やる気がある女性にも門戸を開いた。

 現在、現業職として従事している女性は5人。内訳は、運転士と駅員がそれぞれ2人ずつと、運転士見習いが1人だ。順調に進めばまもなく、3人目の女性運転士が誕生する。

 男性の場合、多くが車掌を現業職の出発点とするのに対し、女性の場合は駅員からスタートするケースがほとんど。1~2年程度経験を積んだ後、社内の選考試験を通過することで運転士候補となる。その後、指導運転士のもとで知識・技術を習得し、国家試験合格後、運転士となる。

 坂口真梨那さんは、女性運転士として市内線で活躍している1人である。平成22年に入社後、運転士となり、結婚後も働き続けている。 

 指導・教育に男女差はないものの、「教える側が男性しかいないため、その点は注意を払っている」と鉄道部運輸営業課の村井伸行課長。

 運転士は日勤を3日間こなしたあと、「仮泊」を挟んで2日間働き、2日間休むのが一般的な1週間のサイクル。仮泊のある勤務の際は、1日目は昼ごろ出社し、夜まで勤務。23時~翌朝5時までの休みを挟み、2日目が始発から13時ごろまで働く。

専用の仮泊室を設け夜勤も可能に

 宿泊するのは専用の仮泊室(写真)で、アパートの1室を借り上げている。以前は、男性専用のものしかなかったが、6~7年前に専用の部屋を整備し、女性でも泊まり勤務ができるよう態勢を改めた。女性の泊まり勤務がスタートしたのは、平成23年1月からである。

 こうした取組みの結果、「市内線の運転士における女性の割合は8.6%に達し、他の鉄道会社と比較しても高い」と総務部総務・人事担当の森下干城係長。

 総合職でも10年前から女性活用を積極化し始めている。この10年間の新卒採用は男性9人に対して、女性6人。総務部や財務部のほかに、グループ企業に出向している女性もいる。現在はまだ管理職になった女性はいないものの、将来的になってもらいたいのが会社の願い。

掲載 : 労働新聞 平成28年2月8日第3052号15面

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