【社労士が教える労災認定の境界線】第224回 振動工具を使用し続けて振動障害を発症

2016.08.01 【安全スタッフ】
  • list
  • クリップしました

    クリップを外しました

    これ以上クリップできません

    クリップ数が上限数の100に達しているため、クリップできませんでした。クリップ数を減らしてから再度クリップ願います。

    マイクリップ一覧へ

    申し訳ございません

    クリップの操作を受け付けることができませんでした。しばらく時間をおいてから再度お試し願います。

災害のあらまし

 約47年間の長きにわたり、さく岩機、チェーンソーなどの振動工具を使用する土木工事、造林事業に従事してきた労働者Aが、振動障害を発症したとして、労災保険法に基づき療養補償給付および休業補償給付の請求をした。

判断

 Aが発症した末梢神経障害は、いわゆる白ろう現象(レイノー現象)には至っていないが、労働基準法施行規則別表第一の二第三号3「さく岩機、鋲打ち機、チェーンソー等の機械器具の使用により身体に振動を与える業務による手指、前腕等の末梢循環障害、末梢神経障害又は運動器障害」に該当するとされ、業務上災害と認められた。

解説

 Aは、昭和35年から平成18年まで、相当長期間にわたり、土工、造林夫として、さく岩機、チェーンソーなどの振動工具を使用する業務に従事してきた。厚生労働省は、振動障害の認定にあたり、昭和52年の通達により「振動障害の認定基準」を定めて認定業務を行っている。それによれば、①振動業務に相当長期間従事した後に発生した疾病であること、②(1)手指、前腕などにしびれ、痛み、冷え、こわばりなどの自覚症状が持続的または間けつ的に現れ、かつ、次の(イ)から(ハ)までに掲げる障害のすべてが認められるか、またはそのいずれかが著名に認められる疾病であること。すなわち、(イ)手指、前腕などの末梢循環障害、(ロ)手指、前腕などの末梢神経障害、(ハ)手指、前腕などの骨、関節、筋肉、腱などの異常による運動機能障害の3点が挙げられている。また、②(2)として、レイノー現象(いわゆる白ろう現象)の発現が認められた疾病であれば、それだけで業務起因性が肯定されるとしている。

平成28年8月1日第2263号 掲載

あわせて読みたい

ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。