成長できる仕事与える

　20年以上、若手社員の定着や育成に関する研究に従事し、膨大なデータの分析やその解釈に努めてきた。その結果、主要な結論として導き出されたのは以下の２つだ。

（１）若手社員の定着や成長は、若手自身の問題よりも、環境が重要な役割を果たす。

（２）そのなかでも、とくに上司の役割は多大である。

　もちろん、若手社員個人の要因があるのも事実だが、それ以上に環境や上司の及ぼす影響が大きい。それゆえ、若手社員を会社に定着させ、成長させるためにはまず、上司を育てることだ。これが長年の研究の末に辿り着いた結論の１つである。

　なぜ若手社員の定着や育成に、上司の果たす役割が大きいのか。それは、…

筆者：甲南大学 経営学部 教授　尾形 真実哉