思い込みでサポート減

　前回は中途入社者に必要な研修内容について示した。今回は研修以外のオンボーディング施策について論じていきたい。

　施策を充実させるためにはまず、組織全体の中途入社者に対する捉え方を省みてもらいたい。「中途入社者は新卒入社者より給与が高いから、すぐにパフォーマンスを発揮してもらわないと困る」、「すでに社会人経験を有する分、教育は不要だ」、「前職での経験がうちでも活かせるだろう」と思い込んではいないだろうか。

　会社が「中途入社者＝即戦力」という考えを持つと、中途入社者に対する教育制度やサポートが乏しくなってしまう。仕事のやり方やかかわる人、自分自身の役割は会社ごとに異なり、多くの点で「前職のとおり」にはいかない。この変化を乗り越えるには、充実したサポートが必要となる。

　多くの日本企業で、…

筆者：甲南大学 経営学部 教授　尾形 真実哉