【人事学望見】第1297回 会社解散と労働契約 全員解雇で権利濫用を問われる
2021.07.15
【労働新聞】
会社解散の場合の労働契約は、清算手続きが結了した時点で終了する。しかし、このような場合にも裁判例では、清算手続き中に行われた解雇の効力が否定されたり、また、違法・不当な目的で行われた解散として、解散会社の不法行為責任が問われるケースも存在する。
従業員から意見聴くべき
状況としては、コロナ禍の現在とよく似通っている。将来性が見込めず余力のあるうちに企業を廃止したい経営者が従業員を全員解雇した。その正当性が問われたのは、グリン製菓事件(大阪地決平10・7・7)である。
事件のあらまし
Y会社は、小売店を取引先とする製菓会社。取り巻く状況は厳しく、大手スーパー進出による小売店の売上げ不振と消費者の菓子離れが続き、経営者のXは、意欲を喪失、赤字経営に陥ることは必至と悩んでいた。結論は、Aら従業員35人を含む社員全員の解雇という究極の選択だった。
Aらは、…
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令和3年7月26日第3314号12面 掲載