【人事学望見】第1126回 退職後の競業避止義務と職種 ノウハウない単純作業は適用外
2017.12.05
【労働新聞】
退職後の競業避止義務というタイトルを打ったが、在職中にこの問題で争いになるケースはまれ。裁判例では、退職時に有効な競業避止義務特約があってもそれで万全ではない。特約の重要性と職業選択の自由とのせめぎ合いとなるが、最近では後者の重要性が増してきている。
退けられた損害賠償請求
判例では、使用者の確保しようとする利益と労働者の受ける不利益とを比較して、制限の範囲が合理的だと判断される限度しか有効と認められない。
具体的には、退職前の地位と役職、競業行為の態様、競業が禁止される職種・業務の範囲、期間、地域が限定されているか、代償措置の有無などを基準としている。とりわけ、元従業員が持つノウハウは重要視されるが、単純作業員は競業避止義務特約の除外対象となるとみるべきだろう。
会社の利益の侵害という主張がまったく通じなかったのがキョウワシステム事件(大阪地判平12・6・19)である。…
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら
この連載を見る:
平成29年12月4日第3139号12面 掲載