【新春特別寄稿】2024年賃上げ予測 1.1万円が攻防線/菊谷 寛之 中小で2.9%超も/赤津 雅彦 「3.6%超え」は難しい/小林 真一郎

2023.12.28 【労働新聞】
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 賃金コンサルタントと民間シンクタンクの研究員の3氏に、今春の賃上げを予想していただいた。3氏とも、賃上げ機運は継続するとしつつ、一部では前年を下回る結果になると指摘する。コンサルの2氏は「主要企業の賃上げ率は3%台後半」で見解が一致した。

1.1万円が攻防線/プライムコンサルタント 代表 菊谷 寛之

 2024年は各国中央銀行のインフレ引き締めも後半戦に入る。地政学的リスクも重なり、世界経済は2年連続で減速する見通しだ。日本経済は、昨年7~9月期は一時的にマイナス成長となったが、全体に緩やかな回復を続けている。

 製造業は原材料高が一巡し、円安効果と価格転嫁の進展で増益幅を拡大、非製造業もコロナ禍の影響を脱したサービス消費関連を中心に価格転嫁が進んだ。銀行も貸出金利の上昇で収益改善が著しい。雇用環境をみると、…

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中小で2.9%超も/賃金システム研究所 所長 赤津 雅彦

 昨年の賃上げ結果は、厚労省調査(主要企業364社)では、3.6%だった。産業間の格差は大きく、0~1%台に留まった産業があった一方で、造船は5.37%、精密機器は4.92%と高い賃上げ率となった。

 弊所では、政府が発表する発表国全体の付加価値、つまり名目GDPの額と、そこに含まれる雇用者報酬の額との長年の傾向から、「1人当たりの人件費アップ可能率」を試算してきている。これによると、昨年2月の段階で、2023年の人件費アップ可能率(つまりベア余力)は、政府発表のデータをもとにすると1.3%、民間発表データだと1.7%だった。ベア率を1.7%と仮定すると、…

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「3.6%超え」は難しい/三菱UFJリサーチ&コンサルティング 主席研究員 小林 真一郎

 2023年の春闘での賃上げ率は、厚生労働省の調査で3.60%、連合の調査で3.58%と、いずれも高い伸びとなった(両者とも定期昇給分も含む)。24年も前年並みの高い伸びが維持されそうだ。

 春闘に影響を及ぼす要因についてみていくと、まず景気は、完全にコロナ禍を脱し、感染状況に左右されないアフターコロナ期に移行済みである。このため、経済社会活動が活性化し、需要は宿泊・飲食サービス、旅客輸送、レジャーなどを中心に順調に持ち直している。

 先行きについては、まず海外経済は、米国で利上げが終了し、…

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令和6年1月1日第3431号16面 掲載

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