【裁判例が語る安全衛生最新事情】第393回 熊本県立高校事件 心理検査伝えず安全配慮義務違反 福岡高裁令和2年7月14日判決

2022.05.27 【安全スタッフ】
  • list
  • クリップしました

    クリップを外しました

    これ以上クリップできません

    クリップ数が上限数の100に達しているため、クリップできませんでした。クリップ数を減らしてから再度クリップ願います。

    マイクリップ一覧へ

    申し訳ございません

    クリップの操作を受け付けることができませんでした。しばらく時間をおいてから再度お試し願います。

事件の概要

 被告Yは県である。

 亡AはY県の設置する高等学校に入学して平成25年4月に学生寮に入寮していたが、同じ寮に入寮していたBらからのいじめを受けて、平成25年8月17日に自宅で自殺した。相続人X1は母、相続人X2、X3は兄弟姉妹の2人(父は、平成26年7月に死亡し、相続人は母X1と兄弟姉妹のX2、X3であった)である。

 原告X1、X2、X3らは、被告をY県と加害者Bとして、損害賠償請求をしたが、一審判決(熊本地裁令和元年5月22日判決)は、Bのいじめに対しては一部責任を認めたので、双方控訴せず一審判決が確定した。

 しかしながら、Y県に対する関係では、亡Aへの学級主任T2による安全配慮義務違反は認めたものの、寮の舎監の教諭T1に対する安全配慮義務違反は否定し、さらに、自殺についての予見可能性がなかったとしてX1らの請求を棄却した。そのためX1らは控訴し、予備的に、仮に自殺との間の因果関係が認められないとしても安全配慮義務違反によって亡Aが生前に受けた精神的苦痛を被ったことによる損害賠償請求権を相続したとして慰謝料請求を追加した。本件は、その控訴審判決である。

判決の要旨

1、学級主任T2の責任

 T2は、平成25年6月14日の亡Aとの面談時点で、亡Aから寮生活の負担感を理由に退寮の意向を示され、…

執筆:弁護士 外井 浩志

この記事の全文は、安全スタッフの定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら

安全スタッフ電子版へログイン

安全スタッフ電子版は安全スタッフ購読者専用のサービスです。

詳しくは労働新聞・安全スタッフ電子版のご案内をご覧ください。

2022年6月1日第2403号 掲載

あわせて読みたい

ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。