【産業カウンセリングの現場から】第23回 目に見えないものとの闘いで

2012.05.01 【安全スタッフ】
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震災後に部下が自殺した話も

 あれから1年、まだどこへ行っても県外の人からは「大変ですね」と言われます。私は「そう、本当に大変なんですよ」と答えます。小さな子供たちはいつも線量計バッチをぶら下げ、元気に外で走り回る光景は見えなくなりました。小さな子供たちは、きっとこれから先、重いものを背負い続けていくのだろうな、と心配しています。

 労働局での未払賃金立替払い制度の活用や社労士会の被災者巡回相談などの震災支援の中で、避難所や仮設住宅などでいろいろな方々と出合い、大震災被害の大きさ、原発事故の壮絶さを見聞きいたしました。

 仙台からエサを運んでいる運転手が放射能を恐れて、入ってこなくなって、さらに強制避難をさせられ、6万羽のニワトリがケージに取り残されたまま死んでしまった浪江の85歳の養鶏経営者もいました。

 エサが欲しい、エサが欲しいと鳴いているニワトリの姿に夜中に目が覚めるという仮設住宅でのつらい話を聴きながら、心を痛めたものでした。また、津波で夫も工場も流されたにもかかわらず、奥さんが自分の生命保険を解約して、従業員の給料を支払い、わずかで申し訳ないけれど退職金も支払いましたという話もありました。

 ある団体では、震災直後に部下が出てこなくなり、電話をしたけれど、1週間後に自殺をして、自分の対応が悪かったのではと悔やんでいた上司の方もいました。

 最近では特に、仕事がなく、パチンコをするしかない人であふれているパチンコ店をみると、当人たちは精神的支えを失い、自分が否定されている気持ちに陥っているのだろうなと複雑な思いですし、今やることがある自分の幸せを本当にありがたいことだと感じています。

自作の実施計画を提示

 私がメンタルヘルスの促進員をさせていただいて、いつも自分に問いかけているのは、…

執筆:田部事務所 代表 特定社会保険労務士 田部 良夫

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平成24年5月1日第2161号 掲載

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