【裁判例が語る安全衛生最新事情】第367回 アスベスト遅延損害金請求事件 肺がんの確定診断日が起算日に 神戸地裁令和元年9月17日判決

2021.04.27 【安全スタッフ】
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Ⅰ 事件の概要

 本件は、被告を国とするアスベスト粉じんにばく露して肺がんにり患した原告X1、X2の損害賠償請求権の遅延損害金の起算点が問題となった事件である。X1は、日通関連の会社で勤務し、クボタの下請作業員となりその神崎工場で石綿水道管の製造業務に従事した。また、X2は、クボタの従業員として神崎工場で石綿管の製造業務に従事した。いずれも石綿粉じんにばく露したことにより肺がんにり患した者たちである。X1は、平成24年4月24日に肺がんの確定診断を受け、平成27年6月15日に業務に起因するとして休業補償給付を受けた。X2は、平成27年8月12日に肺がんの確定診断を受け、平成28年1月28日に業務に起因するものとして療養補償給付および休業補償給付を受けた。

 アスベストの国家賠償請求事件では、すでに泉南アスベスト第2陣訴訟の最高裁判決が出され(最高裁一判平成26年10月9日判決)、その結果、被告国は、その原審である大阪高裁判決(大阪高裁平成25年12月25日判決)の判断に従って、訴訟上の和解を行う方針であるが、本件もその和解の方針に沿ってX1らは訴えを提起した。被告国はり患している肺がんという「損害」について遅延損害金の起算日について争い、そのため判決となった。

Ⅱ 判決の要旨

1、遅延損害金の起算日

 本件各請求は、…

執筆:弁護士 外井 浩志

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2021年5月1日第2377号 掲載

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