【努力義務化!70歳までの就業確保 新しい高齢者雇用】第13回 活躍の場のつくり方(中) 仕事基準賃金を導入 就労意欲の維持へ工夫/藤村 博之

2021.04.01 【労働新聞】
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給与の大幅減少を回避へ

 60歳定年を維持したまま定年後の継続雇用制度を導入している企業では、定年後に給与が大幅に減るため、継続雇用制度に入った従業員のモチベーション低下が問題になっている。今回は、60歳以降の給与制度のあり方とモチベーション維持について考えてみたい。

 厚生労働省の「令和元年『高年齢者の雇用状況』集計結果」をみると、約8割の企業が60歳定年制を維持したままで65歳までの継続雇用制度を導入している。多くの企業では、満60歳を迎えた月の末日が定年退職の日となる。3月中に満60歳になった従業員は3月31日が定年退職の日であり、4月1日から継続雇用制度に入って働き続ける。

 2017年に高齢・障害・求職者雇用支援機構が実施した「60歳以降の社員に関する人事管理に関するアンケート調査」によると、60歳定年後に継続雇用される従業員の約6割は、定年前とほぼ変わらない業務を担当している。仕事は変わっていないのに、4月に会社から振り込まれる給与額は半分から3分の2になる。説明は受けていたものの、改めて金額を確認して愕然とする。そこで、多くの従業員は「給料が半分になったのだから、頑張りも半分でいいだろう」と考える。仕事に対して前向きになることができず、モチベーションが低下していくのである。

 この問題を解決するには、定年前と後で大幅に変わる給与を是正する必要がある。多くの日本企業の賃金制度は、職務遂行能力によって等級を決める制度に基づいているため、「この仕事をしているからこれだけの賃金を払う」という仕組みにはなっていない。また、長期雇用を前提として、賃金額と企業業績への貢献とのバランスを長期で均衡させるようにしている。つまり、定年前に担当している業務に対応する形で賃金額が決まっているわけではない。

 定年後の継続雇用において、定年直前の賃金額を基準として一定割合を減額する方式が多くの企業で導入されているが、…

筆者:法政大学大学院 イノベーション・ マネジメント研究科 教授 藤村 博之

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令和3年4月12日第3300号6面 掲載

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