組合の暴力的言動を否定 荷役作業機械メーカーに団交応諾命令 千葉労委

2018.04.16 【Web限定ニュース】
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 千葉県労働委員会はボーナスの支給やチェックオフ再開を求める団体交渉に応じなかったとして、東部重工業㈱(千葉県浦安市、吉田牧男代表取締役会長兼社長)を不当労働行為と認定した。同社はクラブバケットやコイルリフターなどの荷役運搬機器の製造販売を営んでいる。

 同社は団体交渉の申入れが暴力的な言動で行われていることから、団交拒否には正当な理由があると主張した。しかし、同労委は暴力的な言動だったとする十分な証拠がないとして、団体交渉に応じるよう命令した。謝罪文の掲示は今後の労使関係の安定を考慮し命じなかった。同労委が命令書を交付するのは5年4カ月ぶりとなる。同社の主張した暴力的な言動は、取締役を侮辱する内容の紙を社内に掲示、取締役と社長を取り囲み監禁状態にした上で詰問し吊るし上げた――など。

 マイクロ精機事件(東京地判昭和58年12月22日)は「将来行われる団交において労働者やその団体の代表者等が暴力を行使する蓋然性が高いと認められる場合には、暴力を行使しない旨等の保証のない限り、団交を拒否することは正当の理由がある」としている。同労委も裁判例を踏襲し、「暴力行為に及ぶ蓋然性が高いと認められるときは、団体交渉を拒否する正当な理由があるというべき」と示している。組合の申入れの状況によっては、団交拒否を認めるケースがあると考えられる。

 同社にはもともと労働組合がなかったが、平成29年2月10日、従業員により組合が結成された。結成以降、複数回にわたりボーナスの支給や決算状況の開示、チェックオフの再開などを求める団体交渉を申し入れたが、同社は工場長が組合員にいるなど、組合の適法性に疑義があるとして一切応じなかった。組合は同年3月に同労委に対しあっせんの申請をしたが、同社が辞退したため、同年6月28日に同労委に救済の申立てを行った。

 同労委は組合の適法性について、工場長は人事の直接的権限をもっているとは認められず、使用者の利益を代表する者ではないとした。組合の目的も争点となった。代表取締役の交替と同時期に結成されていることから、同社は「前社長を擁護する目的で結成した」と主張したが、同労委は組合の規約から労働条件の維持改善を目的にしていると判断している。

【平成30年3月20日命令】

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