▶「この工具、かたしとけよ」「はぁ？」「ロッカーにしまっとけと言ってんだ」「分かりました。すぐになおしておきます」「誰が直せと言った」「はぁあ？…」。これは私が九州から東京に出てきて工場で臨時工をしていたころ、東京育ちの先輩との現場での会話です。

　東京では「片付ける」ことを「かたす」と言い、私の出身の福岡地方では「なおす」と言っていました。東京人は標準語を話すものだと思っていましたが、東京弁も下町では独特の方言や発音がありました。東京人の発音で「ヒ」と「シ」がはっきりせず「飛行機（ヒコウキ）」が「シコウキ」に、「浸す（ヒタス）」が「シタス」でした。職場には「シ」と「セ」がはっきりしない人もいました。

▶同じ九州でも、福岡地方と鹿児島地方では、ほとんど通じないことがありましたが、私の出身の福岡・筑豊地方では、…

執筆：セフテイレビュー 代表　末松 清志