【日本に馴染む職務型人事賃金制度】第2回 いま求められる理由・背景とは(下) 適材適所を実現へ 職能型では抜擢に制限/柴田 彰

2020.01.16 【労働新聞】
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年次運用が限界を露呈

 年功序列は、企業内組合や終身雇用と併せて、これまでの日本企業の成長を支えてきた「三種の神器」といわれてきた。事実、戦後の高度経済成長期にはこれらの雇用慣行が日本企業の飛躍的な成長の土台となってきた。「良いものを作ればそれだけ売れる」時代では、年功序列は合目的的な慣行だったのだ。しかし今では、その年功序列が打破すべき対象としてやり玉に挙げられている。

 職能型制度は、人事の年次運用の基盤となってきた。職能型制度の根本思想は、職務遂行に必要な能力の高低によって社員の処遇を決めることにある。しかし、人の能力を客観的に見極めることは極めて難しい。人事の世界において、人材の評価やアセスメントといったテーマが時代を問わず議論の的になっていることが、その難しさを物語っている。人の正しい能力評価が困難なため、「長い習熟期間を経ている社員ほど、職務の遂行能力は高いはずだ」という前提を置かざるを得ない。これが、職能型制度=年功序列の図式を生み出す原因となっている。

 銀行や歴史の長い企業における「××年組」などの言葉が象徴しているように、新卒で入社してから何年経過したかが、これまでの日本企業において昇格や昇進を決める重要な基準になってきた。「彼は非常に優秀だが、まだ年次が浅いから課長への昇進は難しい」とか、「彼は××年組だから、そろそろ主任への昇格時期だ」という話をよく耳にする。現在では、20年ほど前のように企業は十分な管理職ポストを用意できなくなっているため、さすがに年次だけで昇進を決めるわけにもいかなくなっているが、それでも年次を全く考慮しない企業は少ない。

 職能型制度の限界はここにある。年次、つまり年功序列というくびきによって、…

筆者:コーン・フェリー・ジャパン㈱ シニアクライアントパートナー 柴田 彰

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令和2年1月20日第3241号13面 掲載

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