【元漫才師の芸能界交友録】第9回 北野誠・竹内義和① 2人のラジオに憧れて/角田 龍平

2019.09.05 【労働新聞】
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イベントは司法試験の励みに
イラスト・むつきつとむ

 法律の文言の意味が一義的に明らかではない場合、条文の趣旨に遡って解釈するのが定石だ。2008年冬に行われたニッポン放送の「オールナイトニッポン・パーソナリティ・オーディション」は「30歳以下」という年齢制限が設けられていた。なぜ当時31歳だった私がこのオーディションに合格できたのか。

 1次オーディションは1分間のフリートークの音源と書類の審査だった。私はエントリーシートにこう記した。

 「30歳以下という年齢制限が課せられているため、現在31歳の当職は応募資格がないように思える。しかし、オーディションの趣旨は世に知られていない才能を発掘することにあり、年齢制限は一応の目安に過ぎない。この点、無名の新人弁護士たる当職はオーディションの趣旨が妥当し、年齢制限を僅かに1歳上回るだけであり、応募資格が認められる」。屁理屈という他ない。「30歳以下」という文言の意味は一義的に明らかだ。

 しかし、この詭弁が功を奏し、1次オーディションを通過。ニッポン放送で行われた2次オーディションも、長年聴いてきたラジオに倣い、虚実織り交ぜ喋り倒して合格。かくして、09年1月から「角田龍平のオールナイトニッポンR」が始まる。

 番組開始に当たり、私はプレスリリース用に抱負を寄せた。「男子校で悶々と過ごした中高時代、司法試験に落ち続けたニート時代、深夜ラジオが心のよりどころでした。かつての自分のようなリスナーに、憲法19条で保障された邪推と妄想の自由を刺激する番組をお届けしたい」。

 兄の薦めで大阪のABCラジオで放送されていた「誠のサイキック青年団」を聴くようになったのは、中高一貫制の男子校に通い始めた12歳の春だった。「サイキック」は、芸人の北野誠さんと作家の竹内義和先生が、政治・経済から下ネタ・オカルトまで、森羅万象をギャグという剣で縦横無尽に斬りまくる“情報判断番組”だ。日曜深夜に繰り広げられる邪推と妄想のセッションはきわめて中毒性が強く、たちまち依存症になった私は「サイキックミーティング」と呼ばれる番組イベントにも足繁く通うサイキッカーになった。

 毎年秋に「サイキックミーティング」が開催された京都の円山公園野外音楽堂はサイキッカーの聖地だ。私は司法試験に落ち続けた浪人時代も聖地巡礼を欠かさなかった。論文試験の不合格発表直後に、「もう1年か」とため息混じりに重い足取りで円山公園の坂を上ったものだ。そんな憂鬱を掻き消してくれたのが、風光明媚な秋の京都を彩る誠さんと竹内先生の邪推と妄想だった。笑い転げて帰り道、「もう1年頑張ろう」と軽やかに円山公園の坂を駆け下りた。

 「サイキック」のようなラジオがやりたくて。社会の規範を守るべき弁護士が、年齢制限に違反してオーディションに応募した。「オールナイトニッポンR」の初回には、他局の番組である「サイキック」への偏愛を語った。

 ところが、その2カ月後。「サイキック」は番組やイベントでの発言内容が問題となり、21年の歴史に突如ピリオドを打つ。

筆者:角田龍平の法律事務所 弁護士 角田 龍平

この連載を見る:
令和元年9月9日第3224号7面 掲載

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