【裁判例が語る安全衛生最新事情】第469回 JR北海道(パワハラ)事件 誤記入の文書掲示で使用者責任 函館地裁令和6年3月27日判決
Ⅰ 事件の概要
被告Y社は、旅客鉄道事業などを目的とする株式会社であり、原告Xは、平成25年4月に被告Y社に採用され、函館新幹線工務所総務に異動し、その後、A所長、B助役の下で勤務していた。Xの主張によると、A所長、B助役の下で21もの数々のパワーハラスメント行為を受け、その結果、Xは、令和2年7月ごろ無痛性甲状腺炎となり、令和2年9月25日から休職となった。その後、令和3年1月29日、Xは適応障害が認められ、自宅療養は令和4年3月31日までとなった。函館労働基準監督署長は、令和4年3月30日付けで、Xに対して休業補償給付の支給決定をした。
Xは、Y社の職場内の行為が、パワーハラスメントであって不法行為または債務不履行責任を負うとして、損害賠償請求訴訟を提起した。判決は、21個の主張のうち、4個の行為の責任を認めた。
Ⅱ 判決の要旨
1、パワハラ行為
(1)令和元年5月27日、B助役は、総務グループLINEにXが交際していた相手が写された職場紹介のホームページを投稿し、「この中にXの嫁がいます」というメッセージを送信し、さらにホームページの写真が更新されたことを受け、「新しくなっています」とメッセージを送るとともに写真を投稿した。
交際中の異性の存在や当該交際相手の特定、その交際の在り方などに関する情報は、プライバシー性が高く、同情報が当事者の意思に反して第三者に伝搬された場合には、…
執筆:弁護士 外井 浩志
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